86歳、国民学校“卒業” 名護・東江 4人に証書授与


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沖縄戦で手にすることができなかった東江国民学校の卒業証書を受け取る比嘉幸男さん(右)=8日、名護市立東江小学校

 【名護】現在の沖縄県名護市にあった東江国民学校の元生徒で「昭和6年生」(1931~32年生まれ)の4人が8日、沖縄戦の混乱で手にすることができなかった同校の「卒業証書」を受け取った。戦後72年。85~86歳の高齢となった元生徒たちは「とてもうれしい」と喜びをかみしめた。

 授与式は、名護市立東江小学校の創立135周年記念式典の中で実現した。堀越泉校長が証書を手渡した。元生徒を代表して岸本清さん(86)=名護市=が「戦争中の慌ただしさの中、卒業式が延期され心残りがあった。思いを理解してもらい感謝したい」とあいさつした。岸本さんは高等科1年だった45年3月、先輩の卒業式の準備をしている時に空襲警報が鳴り、山の避難小屋に隠れたことを覚えている。

 比嘉三治さん(85)=那覇市=は「うれしい。卒業証書をもらえるとは夢にも思わなかった」と話した。校舎前で撮った当時の集合写真を見ながら先生や級友の名前を一人一人挙げ、懐かしそうにしていた。

 渡具知正子さん(85)=名護市=は「子や孫にはこのように70年以上たって卒業証書を渡してはいけない。戦争は繰り返してはならない」と力を込めた。比嘉幸男さん(85)=同=は「人生の節目に素晴らしいものをもらった」と喜んだ。