キングス、第4Q爆発 滋賀に72―63 Bリーグ第6戦


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第4Q 3本の3ポイントを決めるなど、逆転勝ちに貢献した金城茂之=15日、沖縄市体育館

 プロバスケットボールBリーグ1部の琉球ゴールデンキングスは15日、沖縄市体育館で今季6試合目を行い、滋賀レイクスターズに72―63で逆転勝利した。ホーム3連勝で、開幕戦の黒星以降は5連勝となった。第1クオーター(Q)の出だしは好調だったが、すぐさま滋賀の守備に対応されインサイドをうまく使えず、追う展開へ。個々の選手が好プレーを見せるものの、後が続かず勢いに乗れなかった。滋賀の司令塔の並里成の素早いプレーに苦しめられたが、第3Q途中から津山尚大が激しい守備で並里の勢いを封じ、勝機を広げた。第4Qは開始直後に11点差を付けられる劣勢となったが、タイム後にアウトサイドの攻撃に切り替え、岸本隆一、金城茂之、津山の3点弾で逆転に成功。さらに相手選手2人がファウルアウトで戦力を落とすと、キングスは内外から一気に畳み掛け、会場の大声援を受けながら試合をひっくり返した。滋賀の並里はチーム1の19得点を挙げた。キングスの次戦は21、22の両日、島根県松江市総合体育館で島根スサノオマジックと戦う。
 (観客3250人)

キングス(5勝1敗)

72―63(16―13,10―19,18―19,28―12)

滋賀(1勝5敗)

 【評】前日に大勝した滋賀レイクスターズに対策を取られ、攻撃のテンポが重たいキングスは第4Qまで追う展開となった。その中で、津山尚大の激しい守備が徐々に相手の攻撃のリズムを狂わせる。さらに相手は2人がファウルアウトとなった。一方でキングスは第4Qに入り、岸本隆一の3点弾をきっかけに流れを引き戻し、金城茂之、津山の遠距離弾も決まり、一気に逆転に成功した。

◆きょうの勝因は津山
 佐々宜央HC(キングス)の話 出だしで得点が伸び悩んだのは自分のゲームプランに原因があり反省点。もう少しいい試合をお見せしたかった。きょうの勝因は津山。チームDFより一対一から積極的で、次の試合に向けてやれることが見えてきた。第4Qの岸本の3点弾から攻撃も軽くなった。

◆3点弾量産させた
 ショーン・デニスHC(滋賀)の話 けがで出場選手を欠き、さらにファウルアウトでメーンスコアラーを失ったことで出場選手の疲労が増し、守備システムの維持も難しくなった。その結果、相手に自信を持ってシュートを打たせてしまい、3点弾を量産させてしまった。

◆津山の「激しさ」勝利呼ぶ/滋賀・並里の勢い封じる

第4Q 並里成(左)と激しくマッチアップする津山尚大=15日、沖縄市体育館(又吉康秀撮影)

 第1クオーター(Q)途中から、並里成が司令塔の滋賀にリードされ続け、どこか重い雰囲気が漂うキングス。第3Q途中、ベンチに下がっていた津山尚大が「(並里に対する)ガードのプレッシャーが少ない。自分にやらせてほしい」と、佐々宜央HCに直訴しコートへ。ファイトオーバーで並里に張り付く有言実行の熱く激しい守備で勢いを封じていった。「きょうの勝因は津山が全て」と佐々HCが振り返るほどのアグレッシブさが味方と観客に火を付けた。

 追う展開、後輩の活躍に主将の岸本隆一がまず応えた。第4Qの開始2分すぎで11点ビハインド。タイムを取った佐々HCが、残り時間を考えアウトサイドの攻撃を指示。すると、流れるような連係プレーから岸本が鮮やかな放物線の3点弾を決めた。続いて金城茂之も岸本の再現プレーのように3点弾。沸き立つような声援がコートを包む。

 ハッサン・マーティンが2連続で決めると、この日の主役、津山が逆転の3点弾を沈め、勝利の道筋をつくりあげた。

 スター選手が集う中で、佐々HCから求められる「ボールへの執着心」を実行し続けた津山。積み上げた自信を胸に「尊敬する並里選手にマッチアップして成長したい」と、プロで初めて指揮官に直訴したという。攻撃でもガードとして試合をつくるなど、攻守の選択肢を増やす可能性もチームにもたらした。

 プロ3年目を迎え、開幕前に語っていた「若さ(に注目される)よりも結果を出したい年」の言葉を少しずつ形にしている。指揮官からの賛辞はむずがゆいようで「すぐ調子に乗らないように頑張ります」と、いつもの笑顔を見せた。
(嘉陽拓也)