CH53Eが飛行再開「ヘリパッドこそ撤収してもらいたい」/翁長雄志沖縄県知事/ぶら下がり会見/2017年10月18日


この記事を書いた人 Avatar photo 宮城 久緒
米軍北部訓練場のヘリパッド(着陸帯)撤去を求める翁長雄志沖縄県知事=18日午前11時45分すぎ、県議会棟

 ―米軍のCH53Eが飛行を再開した。このことについてどうか。

 「もう、あの、言葉がないくらい、数十回、数百回、こういう場面にぶつかってきているわけだから、それで思うのは、日米安全保障条約の地位協定の中で日本国が当事者能力がない。ほんとうに、ここの四軍調整官でさえ、前外務大臣がそでにされる状況だから、ましてや沖縄大使や沖縄防衛局長などというのは、けんもほろろだ。

 そういう境遇の中に、このようにして沖縄県が置かれているのがずーーと続いてきたわけだが、その中で安倍総理が国難突破解散という話をしたが、こういう状況を強いられている沖縄県こそが今国難に遭っているんだという気持ちで今回のものを捉えている」l

 ―具体的に何か抗議行動は。

 「いや、もう抗議行動はすでに開始していて、富川副知事を先に東京に行かせたし、私自身もいろいろな形でこういう形でやっているわけだが、しかしこれがほとんど、むなしい抗議になる。受け止めてくれる人がいない。受け止めてくれる国民はいるんでしょうが、目に見えないのでそういう意味からすると、そういった中で沖縄だけでしっかり闘っていく厳しさも感じながら、今回の選挙、4選挙区必ず勝ってしっかりこれを民意としてしっかり突きつけていきたい。3年前も4選挙区が勝ったが、全然、それを尊重することはなかったから、改めて4選挙区で勝利をして、その民意を突きつけていきたいと思っている。状況は簡単ではないが、一生懸命頑張っていきたい」

 ―この後は有権者の選択に影響を与えるか。きょうの飛行再開。

 「県民はその意味ではすべて理解していると思う。今まで沖縄での保守と革新の闘いというのは、基地を返せという革新と、基地が無くなったら振興策が無くなるのでは、というようなものの闘いだったが、この数年来の沖縄の経済のアジアのダイナミズムを取り入れての元気のいいものは、もう既に米軍基地が人権を守るという意味でも阻害要因であるし、経済発展という意味でも阻害要因、そういう意味からすると、沖縄県のこれからの発展、今日までいろいろな苦労があったが、アジアでの平和の緩衝地帯として沖縄が頑張っていく。平和でなければ沖縄は生きて行けないから。そういったものの中で県民が理解している、というのが今回の選挙の大きな特徴になるのではないかなと思っている」

 ―十分な原因究明がされるまでは飛行再開しないと地元首長に説明していた。このような早い飛行再開は予想していたか。

 「予想どころではない。むしろ4日間停止したのが、「おっ」という感じがあったぐらいだ。その4日間もおそらく選挙中ということで、相当日本政府からもプレッシャーあったと思うが、そのプレッシャーも4日までと、あの状況で原因究明ができてるわけがないので、それをある意味で、原因究明はもう終わったという形で押し切っていくようなものが、今の日本の国の現状なので、沖縄県民はそれよく知っているが、残念ながら本土の方々がこの切実さが、状況が理解できない。日米地位協定の前面で頑張ってる沖縄県のものをどうやって伝えるかというのは、ほんとに苦しい苦しい闘いであるが、しかしながらやらざるを得ないので、しっかりとこれからも伝えて頑張っていきたい」

 ―今回、小野寺五典防衛相はかなり強い口調で再三、米側に要請していたと思う。一連の日本政府の対応は評価するか、しないか。

 「もし選挙中でなければ、そこまで強くでなかったと思う。選挙中だからこのような形でしっかりと話はしたが、今度はしっかりと袖にされたというね、言ったことが逆効果になっちゃった。日本の国の力というものが、ヘリ一つ墜落したものにさえ言及ができないという。こういった状況の恐ろしさ、日常から非日常に変わる可能性が大変厳しい状況になってきてるという感じがするので、この辺の緊張感をみんなで持ちながら沖縄の4選挙区はなんとしても当選して、改めての民意を示したい。それでもおそらく厳しい闘いになるとおもうが、頑張らなきゃいかんと、県民は必ず頑張ってくれると信じている」

 ―県議会は全会一致で抗議決議を可決した。その中にはヘリパッドの使用禁止も盛り込まれている。ヘリパッドにはどういう姿勢で臨むか。

 「北部訓練場の返還式典には出なかった。これはケネディ大使やら菅官房長官やら、みな出席して必ずということで大変なプレッシャーがあったが、私は高江のことを考えると、これは北部訓練場の返還式典は出席できないということで、むしろ名護で行われた集会に出て話をしたが、その意味でヘリパッドはほんとに菅さんが、高江区長になんでもやりますから、と電話でしているがヘリパッドこそ撤収してもらいたい。

 わたしはその前に新辺野古基地に置かれる、あるいは普天間基地に置かれるオスプレイの配備撤回を言っているから、オスプレイが来なくなればヘリパッドの訓練もなくなる、オスプレイもいなくなるということでのもので、村長さんを含め、北部の全体のことを考えて来たがしかし、誰が考えても、あそこの住民の周辺に6つのヘリパッドがあっていろんな機種のヘリ、特にオスプレイが飛んで回るというようなことは、これはもう日本全国どこでも考えられない話。

 固有名詞を出して恐縮だが、佐賀県などにオスプレイを持っていくと言ったら、市長が反対したり、県知事が反対したら、ただ2人が反対しただけで撤収して1年2年も猶予をする。沖縄県は4選挙区勝って、参院選も勝って県議選も27対15だ、自民党とは、それくらい圧倒的な差をつけてもそういうことにはならない。この不条理を私はどうやって訴えていくのか。ワシントンDCでも相当訴えてきたが、またそれなりの反応も出てきたが、ドイツからもあったし。こういった事柄などが地道に一つ一つ実にはなっているが、今日、明日のことを含め、沖縄のこれからの在り方、こういったものなどを改めて私も先頭に立って頑張る以外にはないなと。

 そのためにも、ぜひ皆さまもご理解いただけるならば、この状況、これ日本国のためだから。沖縄のためではない。僕、沖縄の自立のことを10年前まで心配していたが、今日本の自立を心配している。僕は今年の2月に安倍さん(安倍晋三首相)が一番最初にトランプさん(トランプ米大統領)にお会いしに行って、二人で話をしている時に、トランプさんが安倍さんの手を握って「ポンポンポン」としたときに、背筋がぞーーっとしたんだ。そんなような、「かわいい、かわいい」されてるようなものの状況の中に日本が置かれている立場に、気付かなければ日本はアメリカが守ってくれている、それはそれで大変感謝しなければいけないかもしれないが、日本の在り方としては大変厳しい環境に来たなというふうに思っている」

 ―返還式典では、菅義偉官房長官は北部訓練場は約半分の返還は基地負担の軽減だといっている。

 「北部訓練場は、川をゲリラ活動で、鉄砲(?)を担いで、特にある意味では大きな被害を与えるというようなことは、普通のヘリが落ちたりするものよりはなかったわけだ。そこは、ある意味では、早く返した方が、74-70ぐらいになるとの効果があって、その代わり、恐ろしいことに、高江の周辺にヘリパッドをつくって、人が住んでいるにもかかわらず、夜の10時から(朝の)6時というのもお構いなしで。

 だって、日米合同委では『可能な限り』とか『運用上』やるなら破ってもいいと言っているわけだから、そういった自由気ままな訓練が行われる。こういったこと等は米国内でも全然ない。こういう状況を許している日本政府というものが、本島に日本を取り戻すとか、戦後レジュームからの脱却とか、私からするともう、戦後レジュームの完成じゃないかと思うくらいのような状況で、これから以降、いろんな政治が動くことを考えると、沖縄の厳しさもあるが、しっかりと沖縄のためというよりは、日本の民主主義、地方自治を守っていく。こういったものの先駆けとして沖縄があるということを考えてやっていきたい」

 ―ヘリパッドこそ撤収してもらいたい。新しい6カ所。使用禁止を求めざる得ないという考えか。

 「当然だ、わたしたちの気持ちからすると、使用禁止だ。ただ、それをおそらくは、けんもほろろに無視をして通り過ぎるだろうということも予測しながらも、私たちの切実なる思いは使用停止、むしろ撤回、ああ、撤去ですね。ここまでいきたいが、現実の壁の中で10歩が完成なら1歩ずつしか前に進んでいけないので、まずは言いたいことを言って、今日までも百回も千回も言ってきたが、これからも言わざるを得ないということだ」

 ―四軍調整官に抗議を呼び出しで求めているが、それに応じていない。

 「まあ、岸田前外務大臣のところにもこないわけだから、どうなるか分からない。一応は言ってあるが、こればっかりはあっちが考えることなんでね」

 ―そういう米軍の姿勢についてはどうか。

 「ま、これもずーーっと前から一緒のことなんでね。なにも今回が初めてじゃないので。沖縄県は、変な話に飛ぶが、前に10年か20年か前、日比谷高校で不発弾が一発みつかったあら、全国紙は1面で日比谷高校の不発弾を取り上げる。沖縄県の首里高校、あそこはあんた(あなた)、毎年10発ずつ発見されても、何の記事にもならないでしょ。この違いが大きなあれなんだ。それ以外のものでも例えるのはたくさんあるが。この違いがある中で、沖縄の現状を伝えることの難しさ、沖縄なら10発も当たり前、ヘリが墜落するのも当たり前、それがぐーーんと来てるので、これを打破することの難しさを感じながら、この選挙戦を闘っている」(おわり)