【座波幸代本紙ワシントン特派員】在沖米海兵隊のグアム移転計画に伴う北マリアナ諸島テニアン島での実弾射撃場建設計画を巡り、同島とパガン島の市民団体が米国防総省と米海軍省に対して建設の差し止めを求めている訴訟で、サイパンの連邦地方裁判所は13日、国防総省、海軍省による裁判の棄却を求める訴えを退けた。今後、建設計画が国家環境政策法(NEPA)に違反しているかどうかが審理される。裁判の行方によっては、在沖海兵隊のグアム移転計画に影響を与える可能性がある。
同地裁は、海軍が別の建設候補地を検討すべきだったという原告の訴えは退けた。一方、海軍が建設計画が自然環境に及ぼす全ての影響について考慮しておらず、NEPAに違反しているとする原告の訴えについて、審理を継続する。
原告側の弁護を担当する、米環境保護法律事務所アースジャスティスのデビット・ヘンキン弁護士は「軍も法律を上回るものではないと、裁判所が再確認したことに感謝する。何千人もの海兵隊員移転を決定する前に、軍は射撃場建設に伴うテニアンとパガンに及ぼす損害を考慮すべきだった」と述べた。
同訴訟は2016年7月に提起。今後、海軍が提出する海兵隊移転に関する行政記録を基に審理する。日米両政府が12年にまとめた在日米軍再編見直しでは、在沖米海兵隊約9000人をグアムやハワイなど国外に移すことを決定。日本政府も建設費を拠出し、テニアン島に自衛隊との共同訓練場建設を予定している。