多幸山、咲元酒造に出資 資本提携でブランド強化


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 琉球村などを運営する多幸山(読谷村、上地栄一社長)が、1902年創業の泡盛酒造所の老舗、咲元酒造(那覇市、佐久本啓代表社員)に出資し、経営継続を支援することで調整に入ったことが20日、分かった。資本提携により、咲元酒造の看板による製造と雇用を維持しながら、多幸山が観光施設と連携した販売展開やブランド戦略の強化を担う。

 11月にも咲元酒造を株式会社に変更し、多幸山が経営参加する。資産評価や出資比率などについて最終調整している。

 咲元酒造は、琉球王府から泡盛造りを許された「首里三箇」の一つである那覇市首里鳥堀町で営業し「咲元」などの銘柄を製造している。機械化せず、杜氏(とうじ)を中心とした少人数の社員で創業当時からの手作りによる泡盛造りを続けてきた。

 一方で、泡盛業界全体の消費減少の中で販売面では新たな営業展開を見いだせず、3代目の佐久本政雄氏が2015年に死去して以降、事業継続の在り方を模索していた。

 多幸山は沖縄の文化をテーマにした観光施設や飲食・物産販売を展開。伝統酒器の「ゆしびん」を用いたオリジナル泡盛の開発を始める中で、製造元の咲元酒造との取引が契機となり、経営支援に名乗りを上げた。琉球村の年間入場者110万人のうち3割超がインバウンド(訪日外国人客)で、海外客に向けた販売戦略などを構想している。

 多幸山の上地敏夫取締役は「営業面でわれわれのネットワークを使い、酒器から中身までこだわったブランド化を図りたい。県酒造組合とも歩調を合わせ、歴史ある泡盛を広めていきたい」と述べた。