嶺井政三氏が死去 音楽文化向上に貢献 85歳


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 地域の音楽文化の向上に貢献した沖縄県合唱連盟顧問の嶺井政三(みねい・まさみ)氏が26日午前1時15分、那覇市内の病院で死去した。病気療養中で入院していた。85歳。現在、沖縄中央混声合唱団、混声合唱団「よみたん」常任指揮者。南洋群島のポナペ生まれ。告別式は30日午後2時から2時45分まで、浦添市前田2の15の1のサンレーグランドホール中央紫雲閣で行われる。喪主は妻惠子(けいこ)さん。

 嶺井さんはポナペで育ち終戦で関東に引き揚げ後、音楽を学んだ。東邦音楽短期大学を経て1955年に国立音楽大学に編入した。しかし、学費を稼ぐためのアルバイトで体調を崩し退学を余儀なくされた。沖縄に戻り静養していた際、名護市の東江小音楽教師に採用された。以降、高校教師として42年間、声楽、吹奏楽、合唱の指導に情熱を注いだ。

 65年から沖縄中央混声合唱団の指揮者を務め、多くの声楽家を育成してきた。新報音楽コンクールの審査員や、県合唱連盟顧問、全沖縄おかあさんコーラス連盟の相談役などを務め、琉球新報教育活動賞、宮良長包音楽賞、県文化功労賞などを受賞している。

◆「大きな星失った」/温かな人柄、惜しむ声

 合唱団の発展に尽力し、県内外で活躍する多くの声楽家を育ててきた嶺井さんの訃報に、教え子や音楽関係者からは悲しみと別れを惜しむ声が広がった。

 来月3日に開催する高雄市佳音合唱団と沖縄中央混声合唱団の交流演奏会に、指揮者として出演する予定だった。亡くなる2週間前まで練習に参加し、はつらつとした様子だったという。団長の外間早苗さん(56)は「あまりに急で驚いている」とぼうぜんとした様子で涙を拭った。「教え子の公演にこまめに足を運ぶなど、大らかで温かい人柄だった」と語った。

 嶺井さんは、才能を見い出し育てる力にもたけていた。沖縄オペラ協会会長の翁長剛さん(70)は、高校時代に嶺井さんから指導を受け、声楽の道に進んだ。「悩んだ時は常に先生に相談していた。大きな星を失った」と肩を落とした。元中学校の音楽教師の名嘉山和信さん(61)も教え子の一人。「音楽の奥深さを語る先生に憧れた」と振り返り、別れを惜しんだ。