子どもの貧困 連携で断つ 沖縄県内の関係者が支援策を意見交換


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
子どもの貧困問題について報告した(左から)島村聡さん、蟇目崇さん、前城充さん、黒田華記者=1日、宜野湾市民会館

 沖縄県や県精神保健福祉協会が主催する第48回精神保健福祉普及大会が1日、「貧困が子どもに及ぼす影響」をテーマに宜野湾市民会館で開かれた。子どもの支援に携わる関係者や新聞記者らによる座談会があり、教育や福祉、地域といった多角的なアプローチと、それぞれが連携した支援体制の必要性などについて意見を交わした。

 南風原町民生部こども課の前城充課長は、同町での子どもの孤立対策を報告。「子どもだけでなく親の孤立も救わなければいけない」とし、「貧困対策は行政だけではできない。さまざまな組織や団体を結び、対応している」と語った。

 同町で不登校や引き込もりの子を支援している「侍学園スクオーラ・今人沖縄校」校長の蟇目(ひきめ)崇さんは「抱える課題は人それぞれで、孤立した状態に陥っている子は地域にたくさんいる。その声を拾い上げるのも地域の中からだ」と呼び掛けた。

 沖縄大学人文学部の島村聡准教授は「困難を抱える子が見つかったとき、どこにつなぐかが重要で、専門的な支援ができる場のすみ分けと整理が県に課せられた課題だ」と指摘。県のプロジェクトを紹介し「県民みんなで機運を盛り上げないといけない」と話した。

 琉球新報の黒田華記者は、取材を通して出会った子どもの実態や印象に残った言葉を紹介。「安心して自分らしく暮らすことは誰もが持つ当然の権利。それを社会の共通認識とした上で、人が育ち生活するためのお金や時間、教育を保障することが大事だ」と訴えた。

 貧困の「連鎖」や「再生産」を断ち切るための妊娠期からの支援や、学校や地域が発揮できる力についても活発に議論した。大会では日本女子大学名誉教授の岩田正美さんの特別講演もあった。