幹細胞培養液で化粧品 美肌効果期待 琉大発ベンチャー


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二

 琉球大学発のベンチャー企業Grancell(グランセル、野村紘史代表)が脂肪組織由来幹細胞(脂肪幹細胞)の培養液を活用した化粧品の開発に取り組んでいる。培養液は細胞活性の促進効果がある成長因子を豊富に含んでいる。化粧品の原料にすることで、若々しい肌を保つ効果が期待できる。開発には医師など専門家が携わっており、安全で高品質の化粧品を目指している。

 幹細胞は再生医療に有用な細胞として注目されており、琉大でも研究が進められている。琉大は2016年、培養した脂肪幹細胞を用いた顔面変形の再生治療に成功している。これまでの研究で確立した技術を、化粧品開発に活用した。

 幹細胞は培養する過程で多くの成長因子を分泌しており、培養液の中に蓄積されている。培養液は廃棄されることが多かったが、細胞などにさまざまな効果をもたらす成長因子を含んでいることに着目した。グランセルは培養液を使った化粧水や美容液、フェースマスクの開発を進めている。

 幹細胞を活用して生産された化粧品は現在も流通しているが、原料は海外から輸入されているものが多いという。グランセルは大学施設で製造した国内産の原料にこだわっている。再生医療や美容医療、細胞工学を専門とする医師や研究者が開発に携わることで、高品質の商品を生み出して他商品との差別化を図る。今後も琉大と共同研究を行い、幹細胞研究の発展を図ることも目指している。

 製品化などは化粧品製造・販売を手掛けるポイントピュールが行う。製品は近くインターネットで販売する予定。野村代表は「再生医療の技術を社会に還元して、そこで得られたニーズを再生医療にフィードバックしたい。よい循環につなげていく」と今後の展開に期待を込めた。