米軍9度目降下訓練 津堅沖 地元抗議を無視


この記事を書いた人 大森 茂夫
民間の船舶の横を降下する兵士ら=7日午後4時7分、津堅島近海(花城太撮影)

 【うるま】米空軍は7日午後4時すぎから、うるま市の津堅島訓練場水域で、ことしに入って9度目のパラシュート降下訓練を実施した。うるま市や同市議会は、降下訓練実施のたびに訓練中止を求め米軍に抗議しているが、米軍は訓練を強行している。同水域では2日にも降下訓練が実施されたばかりだ。訓練強行に対し、翁長雄志知事は「本当にやるせない気持ちだ」と記者団に述べた。

 午後3時半ごろ、米軍嘉手納基地を飛び立ったMC130特殊作戦機は津堅島沖に現れ上空を旋回した後、同4時4分にパラシュートを着けた米兵5人と物資とみられる物体一つを次々と後部から落下させた。

 うるま市には10月30日、同水域を使用する通知が沖縄防衛局から届いた。6日に電子メールでパラシュート降下訓練を通知した。市議会は9日の臨時会で、同水域での訓練中止を求める抗議決議と意見書を可決し、沖縄防衛局に抗議に訪れる予定だ。市も文書での抗議を行う方向で調整している。

 県は津堅島沖での降下訓練が相次ぎ、訓練通知も直前にしか行われない事態が続いていることを問題視し、今後地元と調整しながら抗議などの対応も検討する。翁長知事は「うるま市長も何度もやめてくれと要請する中、県民の気持ちと裏腹な状況が続いている」と指摘した。

 津堅島訓練場水域での降下訓練は、1997年以降20年間で16回確認されている。直近では2009、2015年に年1回確認されていたが、ことしは9回と訓練回数が急増している。

 県は96年の日米特別行動委員会(SACO)合意で、読谷補助飛行場で実施されてきたパラシュート降下訓練が伊江島に移転したことを受け、伊江島に訓練を集約するよう求めている。