小型風力発電、県内で実証実験へ 沖縄と台湾の産官学連携


この記事を書いた人 平良 正

 琉球大と県環境・エネルギー研究開発機構、台湾と沖縄の民間企業が協力して、小型風力発電の普及や拡大に向けた実証実験を県内で実施する。台風や塩害に強く、沖縄の環境に適した小型風力発電システムの開発を目指す。民間企業の海外展開を支援する沖縄総合事務局の「海外展開倶楽部(くらぶ)」の支援も受けて、県内で開発した小型風力発電システムを東南アジアなどへ展開することも目指す。

県内で小型風力発電の実証実験を開始する琉球大や民間企業の関係者ら=16日、琉球大

 県内の実験では、小型風力発電機の生産・開発の実績がある台湾企業「Hi-VAWT(ハイバウト)」の機器を使用する。同社の製品は風速3メートル程度から発電することが可能で、同18・5メートルを超える強風になると安全のために停止する。騒音や振動も少ない構造になっており、街灯や建物の屋上などに設置されている。台湾や中国のほか、日本国内でも導入実績がある。

 実験は2018年にも開始する予定。県内の2カ所にハイバウトの小型風力発電機器を設置して、1年間を通じて稼働状況などのデータを収集する。県内で普及させるために、機器の設置や管理、修繕を県内企業ができるようにもする。実験で得られたデータの分析や、システム開発のためのアドバイスを琉大が行う。

 琉大工学部の堤純一郎教授は「沖縄は小型風力発電が普及する可能性がかなりある。小型風力発電を自然エネルギーの重要な要素として生かしていきたい」と強調する。県環境・エネルギー研究開発機構の小山聡宏代表理事は「台湾の技術を沖縄でブラッシュアップ(磨き上げ)して、メード・イン・ジャパンの商品として東南アジアに展開していきたい」と目標を掲げた。