新成人へ伝える戦 チビチリガマ案内 元読谷村議「集団自決」悲劇継いで


この記事を書いた人 大森 茂夫

 【読谷】読谷村教育委員会は2日、村波平のチビチリガマで、2017年度に成人を迎える村出身の新成人を対象に、村の歴史を学ぶ講座を開いた。「読谷村の歴史について~受け継ごう、語り継ごう。読谷村の若者たちよ~」と題した講座には村の新成人10人が参加。元読谷村議の知花昌一さん(69)が沖縄戦時にチビチリガマで起きた「集団自決」(強制集団死)の悲劇について説明し、新成人は戦争の悲惨さを学び平和をつなぐ大切さについて考えを深めた。

9月の器物損壊事件で割られた鍋などを前に戦争で犠牲になった人への思いを巡らせる大切さについて、読谷村の新成人に伝える知花昌一さん(左端)=2日夕、読谷村のチビチリガマ

 ガマの前で知花さんは「米軍に捕まればひどい目に遭う」「生きて虜囚の辱めを受けるな」と教えた戦前の教育が、ガマに避難していた約140人の内80人以上が亡くなる悲劇を引き起こしたと解説した。新成人に対し、「軍隊は住民を守らない。チビチリガマは沖縄戦の教訓から平和の大切さが学べる場所だ」と静かに話した。

 新成人は、知花さんの案内で、茶色に変色した「集団自決」の犠牲者の遺骨や、遺品が残るガマの奥に入った。9月に起きた少年たちによる器物損壊事件で割られた鍋やおわんを前に知花さんは「とても悲しかった。なぜ遺品などを壊したのか。今でも理由を知りたい」と語った。一同はその場で、懐中電灯の明かりを消し、ガマで犠牲になった人々に思いをはせた。

 講座終了後、屋良洋那さん(20)は「(遺品などが)粉々に壊されているのを見て、ひどいと思った。命の大切さを伝えていきたい」と口元を引き締めた。上原将太さん(20)は「ガマの中はあんなに暗いのかと思った。ガマで起きたことを子どもたちにも教えていきたい」と真剣なまなざしで語った。

 知花さんは「地域のリーダーとして読谷を担っていく若者に伝えられ、うれしく思う」と話した。