大学入試新テスト 授業改善 動き鈍く 教育現場、必要性は認識


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 現行のセンター試験の後継で2020年度に導入される「大学入学共通テスト」。沖縄県内から19校が参加した試行調査(プレテスト)内容が4日、公表された。新テストは現在中学3年生の生徒から受験対象となる。導入にあたって新テストに対応した授業の取り組みが求められるが、県内の進学校といわれる高校に問い合わせたところ「授業改善が必要」としつつも具体的な対策は行っておらず、中には「特にテスト内容を分析していない」と回答する高校もあった。

 プレテストがあった学校の教頭は「まだ試行段階。担当教科の教員でも内容把握や問題分析などはしていない」と話し、テストを受けた生徒たちからも、聞き取りなどは特に行っておらず、関心は低い。

 また、別の男性教諭も「現在は情報を共有して、具体的指導方法を模索中」と述べ、現段階での積極的な改善に向けた取り組みは行っていないという。

 一方でプレテスト後に授業改善の必要性を唱える教諭もいた。国語のテストが行われた那覇市内の学校の女性教諭は、現行の授業だけでは「自らの考えをまとめて表現する問いに対しては、正直対応できていない」と吐露する。年間指導計画として決められた内容を理解させることで精いっぱいというのが現状だ。受験対策として「これからは表現力を身に付けさせるような授業に変えていかなければ」と気を引き締める。

 中部の進学校では、高3生が数学のテストを受けた。試験監督を務めた男性教諭は、これまでの授業内容で解けなくもないとしつつも「新しい入学共通テストに向け、今後の授業は式の成り立ちの過程や意味をより意識させ、問題文を読み解く国語力も必要となってくる。教科を横断した学びが必要だ」と述べた。