国王の威厳 色鮮やかに 尚灝王の「御後絵」復元


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
色鮮やかによみがえった尚灝王の御後絵。左は鎌倉芳太郎が撮影したモノクロ写真=8日、那覇市の首里城公園内の黄金御殿特別展示室

 第2尚氏第17代琉球国王・尚灝(しょうこう)の肖像画「御後絵(おごえ)」が復元され、8日から首里城公園内の有料区域・黄金御殿特別展示室で公開が始まった。来年2月22日まで。戦前、沖縄文化研究の第一人者の故鎌倉芳太郎氏が撮影したモノクロ写真を基に、同時代の琉球絵画のX線撮影などによって当時の顔料を分析し、色鮮やかな御後絵を再現した。大きさは縦約156センチ、横153センチ。

 復元は首里城公園を管理する沖縄美ら島財団が手掛け、東京芸術大学と東京文化財研究所が協力した。同財団によると国王の死後に描かれた御後絵は、沖縄戦の戦禍に巻き込まれ、現存資料は確認されていない。鎌倉氏が戦前、10人の国王の御後絵を撮影し、そのモノクロ写真やガラス乾板が残されている。尚灝王は、周囲に家来を従えている。同財団調査展示係の輝広志さんは「中国の御後絵は皇帝一人を描くが、琉球国王の場合は家来を配した構図が特徴。緞帳(どんちょう)は大和風で日本と中国の影響が混じり合っている」と分析した。