【ワシントン=座波幸代本紙特派員】今夏以降、海兵隊の航空機や海軍の艦船航行など、米軍の訓練中の事故が多発している。米連邦議会の軍事委員会や米国防総省は、事故の原因を軍事予算の制約・削減が機材不足や整備に深刻な影響を与えていると指摘。トランプ政権の政策を巡り、与党共和党と野党民主党の対立が混迷を深める中、同省は予定より大幅に遅れている予算の早期成立と拡充を求めている。
米議会上下両院は7日、一部政府機関閉鎖の回避に向け、22日までのつなぎ予算をそれぞれ可決した。大統領の署名を経て成立する。だが、与野党の2018米会計年度(17年10月~18年9月)本予算案を巡る協議の先行きは不透明だ。
FOXニュースは11月下旬、17年に米軍機が通常の訓練中に起こした墜落事故は22件で、昨年の同時期に比べ38%増、死亡者数は昨年の2・3倍増の37人に上ると報道。
国防総省のマニング報道部長は6日の会見で、暫定予算の継続は「訓練を中断させ、即応性の回復を妨げ、整備を遅らせる」と早期の予算成立を強く求めた。
海兵隊ナンバー2のウォルタース総司令官代理は今春の下院軍事委員会公聴会で、「約80%の航空部隊は訓練に必要な最低限の航空機材数を確保できていない」と指摘。暫定予算の継続では「機材の修理や更新ができない」と述べている。