発達障がい、複合支援へ 療育から自立まで 浦添市 県内初、20年度に施設


この記事を書いた人 大森 茂夫

 【浦添】浦添市(松本哲治市長)は2020年度の供用開始を目指し、市牧港の沖縄国税事務所牧港寮跡地に「発達障がい児(者)支援関連複合センター(仮称)」を建設する。発達障がいやその可能性のある児童と保護者が一緒に通える親子通所型の療育のほか、引きこもりや不登校になった小中高生への学習支援、さまざまな障がいのある人が就労体験ができる機能も持たせる。相談業務を充実させるため社会福祉士や臨床心理士の常駐も計画しており、乳幼児から成人まで障がいのある人とその家族を支援する。

 同様の一体型複合施設は県内で初めて。利用者とその家族が障がいの程度に応じて、相談から療育、学習支援、就労や自立に向けた総合的な支援を、施設内で受けることができる。

 浦添市は市経塚に未就学の発達障がい児を支援する親子通所型の児童デイサービス「たんぽぽ園」があるが、通所を希望する親子が増え、新たな施設を求める声が上がっていた。相談態勢の拡充を求める声もあり、市は13年に策定した「市まちづくり実施計画」で発達障がい者支援施設の設置を掲げていた。

 複合施設は(1)発達障がい児(者)支援センター(2)指定障害児通所支援事業所(親子通園型)(3)障がい者地域活動支援センター-の3機能を基本にしており、4~5階建てになる見通し。市内の当事者団体で構成する作業部会が詳細について意見交換を重ねており、18年度に実施設計に入る。

 建設用地は年内に先行取得する方針。総事業費は8~9億円になる見込みで、防衛省補助事業を活用する。市の負担は3割程度になるという。

 児童が日常生活での基本的な動作や集団での適応訓練を行う施設、将来は発達検査も行えるように検査室の整備なども計画している。併設される成人向けの地域活動支援センターには箱の組み立てなどの軽作業ができる交流室や、1人暮らしに向けた宿泊体験が行える訓練室などの整備を検討している。

 7日の浦添市議会12月定例会の一般質問で、嘉味田朝福祉部長は「当事者団体と一緒に考えながら、一番望ましい形の施設にしたい」と答弁した。濱崎早人氏(かがやけてだこ会)への答弁。(松堂秀樹)