基地抗議、紅型で表現 照屋勇賢さん個展


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 米国ニューヨークとドイツのベルリンを拠点に活動する美術家、照屋勇賢さん(44)=沖縄県南風原町出身=の個展「遙(はる)か遠くからのパレード」が、南風原町の画廊沖縄で開催されている。展示会名と同名の作品は横13メートルの紅型で、照屋さんがデザインし、宏次(ひろじ)染工房(沖縄市)のHIROJI:KINJOさんが染めを手掛けた。

しなやかな表現の底に揺るぎない抗議の意思が込められた作品「遙か遠くからのパレード」と美術家の照屋勇賢さん=9日、南風原町神里の画廊沖縄

 薩摩侵攻後の江戸上りをイメージした絵柄や米軍機、ジュゴンを含む動植物など沖縄の歴史や社会的背景を紅型で表現した。

 沖縄で生まれ育ったアイデンティティーを基軸に表現方法を生み出している。「いつか基地はなくなってほしい。沖縄の未来に希望を託した抗議でありパレード」と創作意欲を語った。

 「遙か遠くからのパレード」は2015年にドイツで発表され、その後ベルリン国立博物館アジア美術館が買い取った。今回の展示会に合わせ、紅型の型を基にデザインを再構成した。

 今回新たにスペインの画家・ゴヤの戦争画に着想を得た図柄を盛り込んだ。銃口を向ける側は目を閉じ顔が定かではない。向けられた側は沖縄戦中の住民にも、辺野古の新基地建設に反対し座り込む人々にも重なり、想像力が時空を超えて広がる。

 コザ騒動を想起させる横転したパトカーに、乗馬した琉球王国の士族が乗り上げる作品「Aka」も来館者をくぎ付けにしていた。

 展示会は17日まで。午前11時~午後6時。問い合わせは画廊沖縄(電話)098(888)6117。