老朽化、部品も枯渇 米軍ヘリCH53、後継開発遅れ


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 【ワシントン=座波幸代本紙特派員】大型輸送ヘリコプターCH53Eは、米ロッキード・マーティン傘下のシコルスキー社製造の重量物資輸送などを目的としたヘリ。1981年から米海兵隊で導入されたが、飛行時間の増加やアフガニスタンなど戦地での任務に伴う老朽化、部品の枯渇で、海兵隊航空機の中でも最も深刻な整備と即応性の課題が指摘されている。

 普天間飛行場所属の同型機は今年に入って事故や不具合を相次いで起こしている。1、2月は着陸装置の故障、6月に久米島空港への緊急着陸、10月には東村高江で不時着・炎上事故が発生。3、4月に米軍車両をつり下げた同型機の訓練が読谷村で確認されている。

 CH53Eは、04年に宜野湾市の沖縄国際大に墜落したCH53Dの後継機。30年以上の運用のため、順次退役が決まっているが、積載量の増加やコックピットの近代化などを打ち出した新型機CH53Kは開発が遅れ、今年4月に生産体制が整ったばかりだ。

 海兵隊の17年航空計画によると、新型機配備は19米会計年度開始を予定しているが、29年度の完全配備までCH53Eの運用を先延ばししなければならない状況だ。

 米海軍安全センターの事故統計では、17米会計年度中、事故の規模が最も重大な「クラスA」の事故が2件、いずれもアリゾナ州ユマで発生。15年9月には、ノースカロライナ州キャンプ・ルジューン海兵隊基地で宙づり訓練中に墜落し、乗員1人が死亡、11人が負傷。16年1月には、ハワイ州オアフ島沖で同型機2機が衝突、墜落する事故があり、12人が死亡している。