IT技術で社会も革新 日経セミナー、MM総研の中島氏講演


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デジタル時代の沖縄経済の可能性について中島洋氏の講演に耳を傾ける聴衆=16日、那覇市の県青年会館

 日本経済新聞の沖縄での印刷開始10周年を記念したセミナーが16日、那覇市の県青年会館で開かれた。美ら島沖縄大使でMM総研所長の中島洋氏が「デジタルでひらく沖縄経済」と題して講演し、沖縄がIT技術を使った新産業の創出に取り組むことで、社会全体の在り方まで革新していくデジタル時代のモデルになれると展望を語った。

 中島氏は人工知能(AI)やロボットなどの技術が加速度的に進み、既存の産業構造を覆す大きな変革が起きている潮流を紹介。電気自動車技術の進展を一例に挙げ「ガソリンやディーゼル車はもちろん、ハイブリッド車も数年後に販売規制する政策や方針が各国で発表されている。製造業の60%が自動車に関連する日本の産業構造全体を直撃する」と警鐘を鳴らした。

 その上で「幸か不幸か沖縄はほとんど自動車産業がない。デジタル時代に対応した産業を育てれば他の地域の見本になる」と述べた。一方で「沖縄のIT立地の6割はコールセンターだが、人に代わるロボットでの業務効率化が著しい業態だ。これまでのようには雇用に結び付かない」と語り、県のIT誘致戦略が転換期にあるとも解説した。

 中島氏は、沖縄は新エネルギー産業の適地であり、既存の観光、インフラ、農業の各分野ではデジタル技術を導入して産業の高度化が期待できると指摘した。こうした状況から「サイバーセキュリティー産業は、コールセンターに替わって雇用を生む新しい産業として可能性がある。東京五輪までにサイバー攻撃から守る体制を作る課題もあり、条件さえ整えば企業は来る。条件整備として国家戦略特区も一つだ」などと提起した。