沖縄戦の看護隊、記録映像に 動員の女子学徒らの証言 次代へ継承 石山さん制作


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沖縄戦証言のドキュメンタリー映像「ずゐせん看護隊の足あと」を制作した石山秀樹さん=沖縄県那覇市の琉球新報社

 沖縄戦で「瑞泉学徒隊」として動員された沖縄県立首里高等女学校の生徒らの証言を基に、戦争体験をまとめたドキュメンタリー映像「ずゐせん看護隊の足あと」(54分)が完成した。手掛けたのは、那覇市で映像制作スタジオ「ロックヒルスタジオ」を運営する石山秀樹さん(64)。石山さんは証言した生存者や遺族らに加え、県内大学の図書館などに寄贈する予定で、戦争体験の継承に役立ててほしいと考えている。

 映像は沖縄戦が迫る中、同校の4年生61人が戦場で卒業式を行い、野戦病院壕へと動員され、平和な学生生活が壊されていく状況を紹介する。ナゲーラ野戦病院本部壕や、米須の野戦病院本部壕などを移動した経路を地図で示し、現在や戦時中の記録映像を交えて時系列でまとめている。

 日本兵の遺体を運んだり、米軍の弾の破片が当たった女子学徒が亡くなったりした様子など過酷な状況も証言をまとめた。動けない重症患者を注射で毒殺するよう日本軍から命じられた証言も収録している。

 石山さんは2006年にも瑞泉学徒隊のドキュメンタリーを制作したが、納得いく内容ではなかったという。16年11月に瑞泉学徒隊が動員された病院壕などを巡り追体験するバスツアーに参加したことも踏まえ、あらためて取材し再構成した。

 「戦争は、立場の弱い者が必ず犠牲になると思った。戦争の悲惨さを知ってほしい」と、石山さんは思いを語った。