前ヌ山洞窟に遺骨 八重瀬 戦没者、風葬可能性も


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狭い洞窟の中で、見つかった遺骨を確認する県平和祈念財団戦没者遺骨収集情報センターの中野修調査員(右)ら=18日、八重瀬町具志頭

 【八重瀬】沖縄鍾乳洞協会の山内平三郎理事長(70)と理事の松永光雄さん(64)、仲里廣茂さん(72)らがこのほど、八重瀬町具志頭の具志頭体育館近くの前ヌ山で、大腿(だいたい)骨や頭蓋骨の一部を発見した。沖縄戦犠牲者の遺骨の可能性がある一方、戦前に風葬された古墓の可能性もあるとして、県平和祈念財団戦没者遺骨収集情報センターの中野修調査員(61)が18日、沖縄鍾乳洞協会のメンバーと一緒に前ヌ山に入り、遺骨の状況を確認した。

 遺骨の時代については来年以降、同センターが検体を調査し判断する。

 遺骨は今年9月、立命館大学の学生と沖縄鍾乳洞協会のメンバーが調査のために前ヌ山の洞窟に入った際に発見した。洞窟の中の斜面に大腿骨3本、頭蓋骨の一部、あばら骨などが並んでいるのが確認された。山内理事長は「斜面の下側には他の骨や歯などがまだある可能性が高い」と話す。遺留品などもないため、山内理事長らは骨の状態から年代を特定させる必要があると判断。中野調査員を招いた。

 山内理事長は「沖縄戦当時の住民なら何も持っていない。周囲に軍装備があればすぐに兵隊の遺骨だと分かるが、何もなければ判断が難しい」と語る。

 骨の状態を確認した中野調査員は「年代について詳細な検査をしなければ分からない。遺骨は、遺跡の可能性もあるのでうかつに収骨することはできない。もし古墓ならば(収骨自体が)失礼になる」と指摘した。

 2018年にボランティアによる遺骨収集を実施する際に、警察や町の文化財課の了解を得た上で検体を採取する予定だ。