琉球王国の遺構、保存模索 沖縄県、「水路」取り壊し工事中断へ


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「首里当蔵旧水路」の現地説明会。精巧な石積みに感嘆の声が上がった=23日、那覇市首里大中町

 沖縄県は28日までに、那覇市の首里城近くにある古池「龍潭」沿いの県道街路整備工事で発掘された琉球王国時代の遺構とみられる「首里当蔵旧水路」について、同建造物の取り壊しを伴う擁壁設置工事を一時中止する方針を固めた。保存と活用を求める沖縄考古学会(當眞嗣一会長)の要請を受け、保存を視野に入れた工法の見直しを検討することにした。

 県土木建築部の道路街路課は「擁壁がないと道路の地崩れが起きる可能性がある。現時点で(保存は)厳しいと思うが、あらゆる方法を探りたい」と話した。

 旧水路は琉球王国時代に造成されたとみられる。県土建部が来年2月以降、擁壁設置の工事を始める予定だった。一方、県教育委員会文化財課が県土建部に保存を求めていた。

 龍潭沿いの県道29号の街路整備は5月に始まった。アスファルトの歩道をはがしたところ、コンクリートの暗渠(あんきょ)が見つかった。その後の発掘調査で暗渠を外すと石積みの水路遺構(全長約60メートル)が見つかった。県教委は「王府時代の水系が分かる重要な遺構」と判断した。

 今後、県道路街路課と文化財課で協議を重ね、現地保存の可能性を模索する。