【東京】陸上自衛隊木更津駐屯地(千葉)で行われている米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの定期整備が大幅に遅れていることが5日、分かった。防衛装備庁によると、2017年2月1日に始まった1機目の整備が当初予定の9月上旬までに終わらず、完了のめどが立っていない。2機目以降の整備日程は未定。オスプレイは5年に1回は定期整備が必要とされるが、普天間所属機は配備から既に5年が経過している。事故率が過去最悪になる中、整備未了の機体が飛行することになる。
日米両政府は普天間所属の24機と陸上自衛隊に配備される17機のオスプレイ整備拠点として同駐屯地に工場を設置。SUBARU(スバル)が定期整備を担当する。1機当たり3~4カ月を目安に、大規模な分解点検を行い、腐食や損傷の有無を確認し、不具合部分の交換や塗装の塗り直しなどが行われる。年間5~10機程度の整備を計画していたが、現状では1機も終わっていない。
1機目については、整備要員の習熟時間などを確保するため、当初は完了までゆとりがある約7カ月の整備期間を設定した。装備庁によると、作業手順書の作成、必要な部品の調達などに時間がかかり遅れているという。整備要員の技術習熟の遅れも指摘されているが、定期整備開始前に米軍による整備訓練は既に終えている。整備の大幅な遅滞理由は不明な部分もある。
米海兵隊のオスプレイは17年9月末までに普天間所属機の事故やトラブルが相次いで発生。10万飛行時間当たりのクラスA事故率が9月末現在で3・27となり、普天間に配備された12年9月末の1・65から約2倍に増えた。
装備庁は「整備の中で不具合が見つかったなどの報告はない」などとして、整備の遅れと事故の因果関係を否定した。
オスプレイの定期整備は1機目の遅れで、今後の定期整備のスケジュールが崩れる可能性がある。装備庁は「日程ありきではなく、きちんと整備されれば問題ない」としている。