沖縄県は今月中にも在沖米軍に対し廃棄物の排出抑制やリサイクルに協力するよう正式に要請する。最終処分場が逼迫(ひっぱく)する中、昨年11月には大手産業廃棄物処理業者倉敷環境(沖縄市池原)が営業停止になり、県内の廃棄物処理の現状はより一層深刻化、適正化が急務となっている。米軍排出ごみは県民1人当たりの排出量の約2倍に上ることから、県は米軍にも“県民と同等の意識”を持って取り組んでもらうよう働き掛ける。
県の担当者によると、米軍への要請項目は(1)廃棄物の排出抑制(2)分別の徹底(3)リサイクルの促進―の三つが柱となる。昨年末、県環境部から翁長雄志知事に対し現状報告と今後の対策について説明し、県として「なるべく早急に要請をまとめ、米軍に協力を求める」ことを確認したという。
県が事業者などへの聞き取りを基にまとめた資料によると、2015年度に県内の米軍基地から排出された一般廃棄物は2万6332トンで、10年度以降初めて2万6千トン台を突破し、過去5年で最多となった。また県内では市町村ごとにごみの分別方法が定められているが、基地内は日米地位協定の排他的管理権により、日本の法律が適用されない。長年、米軍ごみを受け入れてきた倉敷環境の関係者は本紙取材に「基地からのごみはほぼ分別されておらず、施設内で仕分けている」と答えていた。
大浜浩志環境部長は「慢性的なごみ問題を解決し、循環型社会を目指すには県全体で取り組む必要がある。その中で米軍にもぜひ、県民と一緒になって協力をお願いしたい」と述べた。
(当銘千絵)