翁長雄志知事は9日朝、沖縄県うるま市の伊計島と読谷村で米海兵隊ヘリの不時着が連続したことを受け「本当に言葉を失うほどだ。日本政府も当事者能力がないことには恥ずかしさを感じてもらいたい」と述べ、在沖米軍の全機種飛行中止を求める考えを示した。
一方、小野寺五典防衛相は同日午前、米国のマティス国防長官との電話会談で、再発防止策や点検整備の徹底などを申し入れたが、抗議はせず、県が求める全機種の飛行中止も要求しなかった。
マティス氏は「重要な課題としてしっかり徹底していきたい」などと語り、沖縄など基地周辺住民に対し「申し訳ない」などと謝罪した。事故の頻発理由についての説明はなかった。小野寺氏が会談後、記者団に説明した。
県は9日、沖縄防衛局と外務省沖縄事務所、在沖米軍に対し、全米軍機の緊急総点検とその間の飛行中止などを改めて要請した。航空機整備、安全管理体制の抜本的見直しや地元も参加する新たな協議会設置も併せて求めた。
10日に富川盛武副知事が上京して政府に直接抗議する予定。
翁長知事は県庁で記者団に対し「(日本政府が)『負担軽減』『法治国家』という言葉で押し通していくことに大変な憤りを改めて感じている。日本の民主主義、地方自治が問われている。単に一機一機の不時着の問題だけではない」と述べ、沖縄の声が日米両政府に聞き入れられない構造的問題にも言及した。
今後の要請内容について「全機種(飛行中止)を求めてから後の話だ。一つも前に進まないのに、三つも四つも当事者能力がない人(日本政府)に言えますか」とも述べた。
菅義偉官房長官は9日の会見で、相次ぐ事故に「極めて遺憾だ」としたが、再発防止については「ありとあらゆる対策をしっかり講じるよう(米側に)求めていく」と述べるにとどめ、具体策は示さなかった。