防衛省沖縄防衛局が2017年度から始めた米空軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)の24時間目視調査で、日米両政府が合意した騒音規制措置(騒音防止協定)で飛行が規制されるはずの午後10時~午前6時の離着陸などの回数が、17年4~11月で1173回に上ったことが15日までに分かった。うち604回が午前0時~6時に発生しており、深刻な騒音被害が裏付けられた。
嘉手納の騒音については、基地司令官が出した滑走路運用指示書に、夜間暗視訓練の場合は午後10時を超えて午前0時まで飛行を「認める」と明記されるなど、「合意破り」を前提とした運用がこれまでに明らかになっている。
さらに今回、午前0時以降の離着陸が夜間・未明飛行の過半数を占め、米軍自らが指示書で出したルールまで形骸化している実態が浮き彫りになった。
嘉手納基地や米軍普天間飛行場の騒音防止協定を巡っては、米軍が「運用上、必要」とすれば、騒音規制時間内にも離着陸やエンジン調整ができるようになっている。これには通常の飛行訓練も含まれている。
一方、米軍がイタリアやドイツなどで出している「滑走路運用指示書」では、規制時間内の通常訓練を目的とした飛行は原則的に認めず、急患搬送などの「緊急事態」に限定したり、受け入れ国の許可を条件としたりし、より厳しく規制している。
琉球新報の取材に嘉手納基地は「日米で合意した騒音軽減措置を順守している。もし飛行している航空機があれば、それは運用上の必要に基づくものだ」と回答し、深夜・未明・早朝の飛行は全て「協定違反」には当たらないとの認識を示した。
また16年の通年で騒音規制時間内に離陸、着陸、エンジン調整をそれぞれ何度行ったかを質問したが、「記録はない」とした。(島袋良太)