米軍ヘリ飛行強行 日本政府の停止要求無視 渡名喜不時着


この記事を書いた人 大森 茂夫
急患搬送用ヘリポートから離陸する、米軍普天間飛行場所属で不時着したAH1ヘリ(手前)=24日午前10時53分、渡名喜村(大城直也撮影)

 23日夜に沖縄県渡名喜村の急患搬送用ヘリポートに不時着した米軍普天間飛行場所属のAH1攻撃ヘリコプターは24日午前10時54分、離陸し、米軍嘉手納基地で機体に積んでいた弾薬を下ろし、午後0時半ごろ、普天間飛行場に到着した。小野寺五典防衛相は相次ぐ不時着に「あまりに多い」と指摘し、普天間所属の同型機12機の緊急総点検とその間の飛行停止を米側に要求したが、不時着したAH1ヘリの同型機は午後、普天間飛行場を離陸して飛行した。

 日本側が飛行停止を求めるのは異例で、相次ぐトラブルを受けこれまでより踏み込んだ対応を求めたが、米軍に無視された格好だ。

 渡名喜村で午前10時ごろ、別の米軍ヘリが整備作業員を乗せて到着。不時着機の整備を終え、同54分に嘉手納基地に向けて飛び立ち、普天間飛行場に戻った。渡名喜村議会は25日午前に臨時会を開き、日米両政府への抗議決議と意見書を採択する方針。

 渡名喜村では午後3時半ごろから4時すぎにかけて、不時着機の同型機を含めた米軍ヘリ2機が渡名喜島付近上空を複数回旋回する様子が確認された。在沖米海兵隊は同日、地元の意向に反し、事故を繰り返している大型輸送ヘリCH53Eや輸送機オスプレイ、UH1Yヘリも飛行させた。

 佐喜真淳宜野湾市長は在沖米海兵隊への抗議後、取材に応じ「まだ確認していない」とした上で「まだ不安が消えない中での飛行は市民に不安を与える。残念だ」と語った。沖縄防衛局は佐喜真市長との面談で、不時着機について「一部部品を交換したと聞いている」と説明した。

 小野寺氏は飛行停止を求めた理由について「しっかりした点検が必要だという判断で米側に求めた」と説明した。米側への要請は24日午前10時半ごろ、防衛省の深山延暁地方協力局長がマルティネス在日米軍司令官に文書と口頭で要請した。米側からの返答はないという。県内では昨年1年間、オスプレイの墜落、不時着やCH53Eの不時着、炎上など他機種でも事故やトラブルが重なっているが、他機種に関しては在日米軍全航空機の点検徹底にとどまっている。