校長のパワハラ認定 那覇地裁、622万円賠償命令


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 沖縄県那覇市立中学校の教頭だった女性(60)が2011年の勤務当時、校長のパワーハラスメントでうつ病を発症し退職に追い込まれたなどとして、市に4252万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、那覇地裁(森鍵一裁判長)は30日、パワハラと降格、退職の因果関係を認め、国家賠償法に基づき市側に約622万6千円の支払いを命じた。

 同法は公務員の過失による損害には公共団体が責任を負うと定める。控訴について市教育委員会は「判決文をよく検討した上で対処したい」と述べるにとどめた。判決は当時の校長が女性を校長室に呼び「こんな教頭はいない」「能力がない」などと繰り返し叱りつけ「確信犯的にこのような言動に至った」と認定し「一方的で行き過ぎた言動により原告の人格を傷つけた」として、校長の言動とうつ病発症には因果関係があると判断した。

 その上で女性が休職せざるを得ず降格を願い出たことは「やむを得ない」とし、降格と退職も言動が原因だったと認め、因果関係を否定した市側の主張を退けた。

 女性側は退職後に発症した認知症もパワハラが原因と訴えたが、判決は因果関係を認めず、定年まで在職可能だった期間のうち認知症発症後の約4年半の給与に相当する損害は認めなかった。

 元教員でもある女性の夫は「同じような犠牲に遭う教員が出ないよう人事評価や精神的なケアの体制づくりなどに取り組んでほしいい」と話した。