名護市長選・立候補予定2氏 政策アンケート(中)経済・観光・行財政改革


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「素通り」に独自対策/予算面の評価は正反対

 28日告示、2月4日投開票の名護市長選を前に、立候補を表明している、3選を目指す現職の稲嶺進氏(72)=社民、共産、社大、自由、民進推薦=と、新人で前市議の渡具知武豊氏(56)=自民、公明、維新推薦=に、経済や観光、行財政改革に関する見解を聞いた。

 雇用・経済の拡大に向けた具体的な施策では、稲嶺氏は「IT産業の高度化と海外展開をサポートする『県ITイノベーション戦略センター』を名護市に誘致する」と主張。また「名護湾にクルーズ船を受け入れ、鉄軌道や高速艇、自転車のまちづくりを連携させ、北部全体の発展と雇用拡大を目指す」とした。

 渡具知氏は「稲嶺市政の8年間は経済振興に失敗している。2014年度の1人当たり市町村民所得は、名護市は県内41市町村中30位だ」と批判。「IT産業や製造業、観光産業のさらなる振興や、縫製業の誘致を進める。市長自らセールスに出掛ける」と答えた。

 海洋博公園などに向かう観光客が名護市を通過してしまう「素通り観光」対策では、稲嶺氏は「沖縄観光コンベンションビューローと連携し、那覇から名護間の高速艇運航を実現させ、観光ロープウエー構想やブセナ海中展望塔を利活用した『北部観光振興プロジェクト構想』を推進する」と回答。渡具知氏は「東江海岸から宇茂佐地域にかけ滞在型リゾートの整備をしたい。市営球場の整備に伴い21世紀の森公園に飲食店などを整備し『ボールパーク』として市民、観光客に楽しめる公園にしたい」と答えた。

 行財政改革では、名護市の予算状況の現状と課題について、評価が分かれた。稲嶺氏は「再編交付金に頼らずとも、前市政より年平均で77億円も市予算を増やすことができた」と主張。「市の貯金に当たる基金積立額は、前市政の38億円から約2倍の72億円まで増やした。財政の健全さを表す実質公債費比率は6・3%で、県内11市では一番健全だ」と強調した。渡具知氏は「現市政は高補助率の事業を受けず、そのしわ寄せが市民に来ている。市の借入金は増加し、前市長の時は約221億円、現市長になり16年度は約276億円で約55億円も増えた」と追及。「市長自らが県や国におもむき、高補助率の事業採択を図る」と訴えた。(’18名護市長選取材班)