コンビニ店員 詐欺防ぐ 客に声掛け、沖縄署が感謝状 LINEでギフトカード購入要求


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島袋令沖縄署長(右端)から感謝状を贈呈された(左から)長嶺美和さん、青山昭美さん、外間修さん=1日、沖縄署

 【沖縄】沖縄署は1日、ファミリーマート沖縄ももやま通り店の外間修店長と店員の青山昭美さん(37)、長嶺美和さん(41)に、ギフトカードを利用した特殊詐欺を未然に防いだとして感謝状を贈呈した。

友人に“成りすまし”/必ず本人確認を

 青山さんらは1月、無料通信アプリLINE(ライン)を通じ友人から頼まれたという約5万円分のギフトカードを購入した女性客に対し、詐欺の可能性があると声を掛けた。その後、この女性客は、友人からのラインが成りすましによるものだと確認。青山さんらの声掛けが詐欺の防止につながった。

 青山さんは「被害に遭わなくて良かった」とほっとした表情で話した。

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 今回、特殊詐欺の被害に遭いかけた女性は、琉球新報の取材に「声掛けがなければ被害に遭っていたかも」と当時の状況を語った。

 「今忙しい?」。1月9日、海外の友人のアカウントから女性にラインが来た。あいさつもそこそこにその「友人」は、理由も言わずに5万円分のギフトカードの購入を求めてきた。

友人に成り済ましたアカウントと架空請求詐欺の被害に遭いかけた女性のラインでのやりとりの画像

 海外留学の経験がある女性は「海外で困っているのであれば助けないといけない」と思い、「友人」の最初のラインから1時間足らずでコンビニに行き、カードを購入した。

 レジで対応した青山さんが女性に「詐欺の可能性もある」と告げたが、女性は別の用事のために一度店を出た。すぐに「友人」の指示通りにカード裏面の番号を撮影。用事が終われば、ラインで画像を送るつもりだったという。

 しかし、青山さんの言葉が頭をよぎり、ラインとメールで友人に本人かどうか確認した。友人からメールで「ラインアドレスが乗っ取られている」と返信があり、ラインの「友人」は他人だと分かった。

 女性のメールを受けて、友人は急いで同様のラインが回っていないか確認をしたが、友人の弟が既に被害に遭った後だったという。

 女性は「冷静になれば、カードの画像が送られてきたことや言葉使いなどおかしな点があった。払える額であることもよくできている。金銭の請求があれば、相手が本人か確認すべきだ」と注意を呼び掛ける。

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 沖縄署によると、県内の2017年の特殊詐欺発生件数は27件で被害額は7617万309円でそのうち、架空請求詐欺は17件で被害額は約691万円。沖縄署管内の特殊詐欺は2017年、6件で被害額は約239万円。そのうち5件がギフトカードの購入を呼び掛けることなどを含む「架空請求詐欺」で、被害額は約190万円だった。

 同署の又吉克也生活安全課課長は「今回の案件は、店内での不審なギフトカード購入に対しての声掛けが徹底されていたため防げた。被害が発生しないよう防犯活動に取り組みたい」と話した。
(藤村謙吾)