【八重瀬】みそ汁は心の古里―。30年ほど前から家族のために玄米みそを手作りしている八重瀬町長毛の栄養士・名嘉眞みどりさん(64)は、子育てを終え、一念発起して60歳で「ナカマ工房」を立ち上げた。夫の知憲さん(71)が自宅の庭に作った作業場で、ティーアンダ(真心)のこもった玄米みそを作る。「みそは先人の知恵。日本人の食の原点だが、最近はみそ離れしている。子どもたちに日本食の大切さを伝えたい」との思いで、保育園などで食育講話を開き、みその食べ方なども伝えている。
那覇市出身の名嘉眞さんは那覇高校を卒業後、神戸の短大で栄養士の資格を取得。旧具志頭村の保育園で栄養士として勤務したが、23歳で村港川出身の知憲さんと結婚。息子2人、娘3人の5人の子に恵まれ、専業主婦になった。
約30年前、玄米みその作り方を教わり、家で作り始めた。近所の人たちに作り方を教えるようになり、「おいしいから商品化しては」と周囲に背中を押され、58歳で起業を決意した。
販売するならいいものをこだわって作ろうと、全国各地のみそを取り寄せて食べ比べた。発酵の勉強会などで知識を深め、納得できるみそを追求。60歳で「ナカマ工房」を立ち上げた。
名嘉眞さんの玄米みそは無添加で玄米は宮城県産、大豆は北海道産、塩は県産を使用。塩分濃度にもこだわり、通常は平均11%だが、名嘉眞さんのみそは塩分控えめの7・4%。優しく深みのある味わいで、お年寄りから「昔のみその味がする」と喜ばれているという。
近年、若い人たちのみそ離れを危惧する名嘉眞さんは「カチュー湯や野菜たっぷりのウチナーの具だくさんのみそ汁は、昔の人の知恵。現代人は忙しいからこそ、みそ汁だけでも食べてほしい」と力を込めた。
「玄米みそ」は350グラム800円、「つけてみそ」100グラム300円。ナカマ工房や八重瀬町具志頭の「南の駅やえせ」などで販売している。南の駅やえせの朝市(毎週土曜午前9時~正午)では試飲できる。問い合わせはナカマ工房(電話)098(998)7273。(豊浜由紀子)