山城兄弟 成長のたすき 一周駅伝沖縄市チーム 復路で順位押し上げる


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第19中継所で弟の弘弐(左)から兄の広大にたすきを渡す山城兄弟。沖縄市の順位浮上にそろって貢献した=4日、今帰仁村役場前

 沖縄本島を3日から4日にかけてほぼ一周した第41回沖縄一周市郡対抗駅伝競走大会の沖縄市チームで、兄弟でたすきが受け渡された。山城広大(19)=コザ高―岐阜経済大1年=と弘弐(16)=コザ高1年=の2人で、折り返しの復路で出走し、ともに区間2位と奮闘した。区間賞こそ届かなかったが、往路で9位と苦しんだチームの総合順位を最後に4位まで押し上げる原動力となった。「一緒に走ることができて、いい思い出になった」。共に兄弟でのたすき渡しとそろっての快走を喜び、今後の成長へ向け、互いにエールを送った。(石井恭子)

■弟から兄へ

 初日3日の往路は14チームのうち総合9位と出遅れた沖縄市。4日朝、復路先頭17区の平良耕陽と18区・仲宗根良真の区間賞の力走によりトップでたすきを受け取ったのが、19区の弟・弘弐だ。総合順位も7位まで上がっていた。

 昨夏の県高校総体5000メートル4位、1月の県高校新人駅伝では最終5区で首位の北山を8秒差から追い、ラスト700メートルで捉えて区間新で大逆転の優勝を果たした。高校入学後の確かな成長を4日の19区(10・5キロ)でも見せた。35分22秒で走り切り区間2位、総合順位を7位から6位に引き上げた。今帰仁村内の第19中継所で待つ兄に「このままトップでしっかり走ってくれるはずだ。頑張ってほしい」と思いを込め、たすきを託した。弟から手渡されたたすき。広大は「1位で来てくれてタイムの貯金もありそうで、助かった」と落ち着いた走りでトップを死守し、20区(12・7キロ)を区間2位の42分9秒で駆け抜けた。「緊張もあったけど良かった」と、この時点での総合順位を5位に上げた。

■互いの舞台で活躍

 2人とも山内中時代は野球部に在籍していた。その中で、長距離の素質を開花させた。弘弐は兄の影響も大きかったという。

 中3年の時に市郡対抗駅伝の沖縄市の補欠を務め、初めて大会に参加した広大。たすきをつないでいく大切さと難しさを目の当たりにした。コザ高では県大会を2度制し、全国高校駅伝(都大路)に2度出場した。昔はちょくちょく一緒に弟と練習したが、岐阜県に住む今はその機会はほとんどないという。

 大学では全国予選会にBチームでオープン参加し、自身が走る区で同じ大学のAチームを抜く快走を見せた。6月の全日本大学駅伝ではレギュラー入り。「優勝したい」と見据える。

 弟の弘弐は「伸び悩む時期もあったけど、スランプよりはタイムが伸びる楽しみの方が大きい」と駅伝に前向きに取り組む。都大路を駆ける年末の県高校駅伝優勝を掲げ、鼻息も荒い。広大は急成長する弟へ「今年はやってくれると期待している」と温かい声援を送っている。