芸術に燃やした命 グラフィックアーティスト・故DAMさんの個展 沖縄市で開催


この記事を書いた人 Avatar photo 島袋 貞治
DAMさんの作品の前に立つ妻の上門ゆりのさん(左)とストックルームギャラリーコザの安里亮祐代表=9日、沖縄市中央のストックルームギャラリーコザ

 【沖縄】グラフィックアーティストのDAMさん(本名・上門悠)の個展が、沖縄県沖縄市中央のパークアベニューにあるストックルームギャラリーコザで開かれている。西原町出身のDAMさんは海外でも活動し、2015年に自身のアパレルブランドを立ち上げた後、16年4月に悪性リンパ腫でこの世を去った。30歳だった。死ぬまで絵を描き続けたという彼の作品150点余を一目見ようと、口コミで知った若者や親子連れが足を運んでいる。

 DAMさんは中学生の頃、スケートボードの裏に描かれた絵に魅せられグラフィックアーティストへの道を進んだ。県内を拠点に、ドイツやオーストラリアでも作品を多く残した。活動が軌道に乗り始めた14年6月、悪性リンパ腫と診断された。

生前のDAMさん(上門ゆりのさん提供)

 ストックルームギャラリーコザ代表の安里亮祐さん(34)は「動物や植物など自然をモチーフにした作品が多く、色彩もカラフル。ストリート系アートでは珍しいタイプだ」と語る。

 個展は生前から計画されていた。DAMさんの死後、家族や友人が話し合って開催を決めた。妻の上門ゆりのさん(29)は「病気になったときも立ち直るのは早かった。生きている内に何かを残そうとしていた」と闘病中の姿を思い出す。入退院を繰り返す日々で作品を描き続けた。

 DAMさんは死の直前に、人生を映画に例えた文章をスケッチブックに記していた。「波瀾(はらん)万丈、喜怒哀楽、監督は短いフィルムに詰め込んだ。最後にわがままを聞いてもらえるなら、アメリカ映画のようなハッピーエンドの続きを描いてもらえないでしょうか」

 展示会は18日まで、火曜と水曜は定休日。入場無料。問い合わせは同ギャラリー(電話)098(927)2432。(安富智希)