重なり合う弦の音色 ルカ・チャルラ×渥美幸裕


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軽やかにギターの弦をはじく渥美幸裕(右)としっとりとバイオリンを奏でるルカ・チャルラ=4日、宜野座村文化センターがらまんホール

 イタリア出身のバイオリニスト、ルカ・チャルラとギタリスト渥美幸裕によるデュオコンサートが4日、沖縄県宜野座村文化センターがらまんホールで開かれた。日本の古典音楽(純邦楽)を現代風にアレンジしてギターで奏でる渥美と、さまざまな機材を用いて斬新な演奏を展開するチャルラとの異色のコラボが観客を引き付けた。

 渥美は「ジャパニーズギター」という新しいジャンルを立ち上げ、日本音楽の伝統と今をギターでつなぐプロジェクト「邦楽2.0」のメンバーとして活躍している。雅楽曲「越天楽(えてんらく)」では、ギターをきめ細かく爪弾き、太鼓のようにギターのボディーを鳴らした。箏曲「六段の調(しらべ)」では重厚な演奏を繰り広げた。

 チャルラは演奏した音をその場で録音・再生し次々とフレーズを重ねることができる「ループペダル」を使い、バイオリンと口笛、歌声などを重ねてソロで合奏を演出した。弦を指ではじくピチカートをループペダルで録音・再生しながら、伸びやかなバイオリンの音色を響かせ、口笛を吹いた。

 後半は2人で演奏。渥美が作ったオリジナル「Beyond the Fields」では、軽やかにはじく渥美のギターの音に乗せてチャルラがゆったりとしたバイオリンの音色を聴かせた。ジャズの「チュニジアの夜」ではチャルラが口笛を吹きながら楽しげにバイオリンを弾いていた。

 コンサート後、渥美は「沖縄では古典音楽や民謡を現代音楽と重ねて演奏している。純邦楽もさまざまな楽器を使って広めていきたい」と語った。(金城実倫)