県が辺野古サンゴ移植許可 1日までに国実施


この記事を書いた人 大森 茂夫
県が特別採捕許可を出したオキナワハマサンゴ(沖縄防衛局の申請書より抜粋)

 名護市辺野古の新基地建設工事で、県は16日、沖縄防衛局が昨年10月26日に申請した絶滅危惧種のオキナワハマサンゴ1群体の特別採捕を許可した。県水産課は「環境省レッドリストに記載された希少種サンゴの採捕申請は初めてで、審査に時間を要した」と説明した。サンゴ移植の特別採捕は、翁長雄志知事が掲げる新基地建設の阻止に向けた知事権限の一つだったが、許可を出したことで新基地建設反対派の批判が強まる恐れがある。

 辺野古新基地建設に関連するサンゴ移植の採捕許可は、今回が初めて。防衛局は3月1日までに移植を行う。県は許可の追加条件として、移植後も当該サンゴをモニタリングし、おおむね1週間ごとに写真などで県に報告するよう求めた。

 新基地建設に伴う埋め立て工事には県漁業調整規則に基づいて知事の許可を得てサンゴを移植する必要がある。防衛局は環境保全措置として約7万4千群体のサンゴを移植対象としている。

 防衛局は16日、許可を踏まえて「速やかに移植作業の準備に着手し、準備が整い次第、移植を行う」とコメントした。移植先は環境が類似した辺野古崎の周辺海域。

 県は特別採捕に関する行政手続きの標準処理期間を45日間と定めているが、今回は防衛局への説明要求や環境省への照会を除いて97日を要した。過去に45日を超えた事例はない。今回の審査で議論した知見は、今後の審査の参考にもなるという。

 防衛局は昨年7月に14群体の希少サンゴを発見したが、今回の採捕許可が出たオキナワハマサンゴを除く13群体は死滅している。防衛局は1月24日に準絶滅危惧種のヒメサンゴ1群体の特別採捕を申請しており、別のヒメサンゴとオキナワハマサンゴの計9群体も近く申請する方針。