「奏花の思い生き続けて」 両親、絵本贈り「文庫」設置 7歳で交通事故死


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あんびるやすこさんがデザインした「そよかぜ文庫」のシール

 【宜野湾】2016年12月に交通事故で亡くなった屋宜奏花(そよか)さん(当時7歳)が通った沖縄県宜野湾市の宜野湾小学校・幼稚園に、4月から奏花さんにちなんだ「そよかぜ文庫」が設置される。両親は「本を通して奏花の優しい気持ちが生き続けてほしい」という思いを込め、絵本や児童書約500冊を寄贈した。

 奏花さんは毎週図書館で本を借りるほど読書が大好きだった。父司さん(39)と母道代さん(42)が「奏花が生まれて来た意味を形に残したい」と考えた。一周忌を迎えた昨年12月11日、自宅を訪れた校長らと相談し、文庫の設置が決まった。

 文庫に収める本に貼る、目印となるシールは、奏花さんが好んで読んでいた児童書作家のあんびるやすこさんが無償でデザインを手掛けた。15日には宜野湾市内の小中学校の司書らが定例の会合で装丁作業を進めた。春休み中も継続し、新年度に間に合わせる予定だ。

 何事にも一生懸命な奏花さんは近所の子どもたちや同級生からも頼りにされ、周囲から愛されていた。道代さんは「多くの方が協力してくれて話が進んでいる。周囲に優しく接していた、奏花の人徳のおかげかな」と語った。

 文庫設置に取り組む中、家族の心に浮かぶのは奏花さんとの楽しい思い出だけではない。亡くなった事実に向き合わざるを得ず、苦しみも伴う。司さんは「夢や希望にあふれていたのに一瞬で奪われて。この子が一番やりきれないだろうな」と遺影を見詰めた。それでも娘を思い、活動を続ける。

 兄の奏汰君(11)や奏花さんの友人たちも「そよかぜ文庫」を楽しみにしている。コーナーは図書館の一角に設けられ、児童たちが座って読書できる空間になる。司さんは「本を通じて友達と触れ合って過ごせたら、奏花が生き続けることになる」と語った。