沖縄県の翁長雄志知事は20日、来県中の参院外交防衛委員会(三宅伸吾委員長)の委員らと県庁で意見交換した。米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設について委員会理事の塚田一郎氏(自民)が意義を強調した。これに対し翁長知事は、元閣僚らの発言を引用して「軍事的に必要だというより政治的に沖縄に置くしかないと話されている。こういった理由で沖縄に置くということをぜひもう一度見直してほしい」と再考を求めた。
辺野古移設問題に関して、翁長知事は「秋田県なら十和田湖を、宮城県なら松島湾を、滋賀県なら琵琶湖を埋めて抑止力のための基地を造ることが、地域の国会議員が日本の安全のためだとやり切れるのか疑問だ」と指摘した。その上で「普天間から辺野古は20~30キロしか離れていない。それでだいぶ移転したなと、海で墜落しても大丈夫だなと判断すると大変心痛い」と述べた。
翁長知事は、米軍機の不時着や部品落下が相次ぐ現状も示し「今の日本政府の中枢の方は、言葉だけは負担軽減とか誠心誠意とか言うが、基地の在り方は(1年間にトラブルが)30件もあり大変厳しい感じがする」と懸念を示した。宜野湾市の普天間第二小学校への窓落下にも触れ「うやむやにこの件を終わらせたら日本の主権はとんでもない感じになる」と委員会でも議論するよう求めた。
塚田氏は知事の発言に先立ち、辺野古移設について「実現すれば航路が海上となり安全性が確保、騒音も大幅に軽減される」と意義を強調した。