オリンピック選手村での使用や輸出の条件ともなっている農産物の認証制度「GAP」の普及に向け、農業高校教諭が奮闘している。取り組むのは安座間康(やすし)さん(35)=県立総合教育センター=と安座間健(たける)さん(35)=八重山農林高=の双子の兄弟。まだ一般に理解が広がっていないGAPの実践方法を学べるよう農業高校での教材を開発中で「みんなで沖縄の農業を発展させたい」と意気込んでいる。
GAPは、農産物の安全性向上や環境保全のため、農業者が実施すべき「優良農業の実施基準」。労働の安全性も向上するため農業者と消費者の両方に利点がある。世界的に普及が進んでおり、東京オリンピック・パラリンピックの選手村ではGAP認証を取得した生産者の農産物しか使えない。国は2020年に向けてGAP指導員を増やす方針で、農業高校でのGAP教育も推進している。
康さんは中部農林高で勤務していたが「これからはみんなが当たり前にやることとしてGAPが必要」と一念発起。1年間教育センターに籍を置いて集中的に学び、県内で6人、学校現場では唯一のGAP指導員の資格を取得して教材開発に取り組んでいる。生徒を指導するために教員間で共有するだけでなく「農家にもアドバイスできたら」と農業界全体を見据える。
健さんは昨夏、高校として国内で初めて国際的なGAP認証をとった青森県の五所川原農林高校を視察した。康さんと共に9日に中部農林高校で開かれた県高校農業教育研究会で報告し、県内高校での認証取得に向けた課題を話し合った。
健さんは「厳しい基準をクリアして認証を受けた学校で学べば、生徒はノウハウを身に付けて自信を持って農業ができる。海外へ販路も広がり農業の可能性も広がる」と意義を語った。(黒田華)