沖縄本島沿岸漁獲量 27年間で6割減 資源減少も懸念


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 1989~2015年度の27年間で、沖縄本島沿岸域の漁獲量が沿岸漁業で65%、沖合底層漁業で57%減少したことが県水産海洋技術センター(糸満市)の調査で1日までに分かった。沿岸漁業は漁獲量の6割を占める魚種で平均6割も減少し、資源状態が悪化しているとみられる。沿岸漁業は漁業者の半数以上が従事し、同センターは資源回復の対策の必要性を指摘している。

 県全体の漁獲量は1993年の1万6402トンをピークに2015年は1万1842トン(28%減)に、生産額も約118億円から約94億円(20%減)になった。県水産海洋技術センターが27年間の漁業データを解析した。

 沿岸漁業は主に水深が100メートルより浅い場所、「沖合底層(沖底)」は100メートルより深い底層、「沖合表層(沖表)」は沖合の表層部の漁獲を指す。

 本島周辺域の沿岸の漁獲量は1993年の4215トンから減少が続き、2015年には1459トンで65%減少した。赤土などの流出や開発行為による沿岸、サンゴ礁環境の荒廃が原因とみられる。沖底漁業は千トン程度から433トンで57%減少した。マグロ類やソデイカを対象にした沖表漁業は、1万~1万2千トンで比較的安定して推移していた。

 資源量の減少が指摘される一方で、漁業者による自主管理ルールの策定などで、資源状態を回復している魚種もある。シロクラベラ(マクブ)は、北部地域で漁獲サイズを制限して1回当たりの漁獲量が増加。今帰仁・羽地海域で保護区を設けたタマンも、資源量が3割増加している。同センターの秋田雄一研究員は「漁業者が努力して資源管理に取り組み、効果が表れている」と取り組みの重要性を語った。