沖縄戦で看護要員として動員され、多くが犠牲となった「ひめゆり学徒隊」の体験を伝える糸満市のひめゆり平和祈念資料館は13日、島袋淑子館長(90)が3月末で退任し、後任に普天間朝佳副館長(58)が就任すると発表した。1989年の資料館設立以来、館長は元学徒や元教師など戦争体験者が務めてきたが、戦後世代の就任は初めてとなる。元学徒らが高齢化する中、同資料館は「戦争体験者の世代から非体験者の世代へと引き継がれる」としている。
館長の島袋さんは元ひめゆり学徒で、沖縄陸軍病院に動員され、戦場で友人や兵士の死を目の当たりにした。戦後教師となり、33年間勤め、資料館開館後は運営に携わりながら証言活動や後進を育ててきた。館長には2011年に就任した。
島袋さんは1月で90歳になり「若い人に任せる時」と退任を決意したという。戦後世代に引き継ぐことについて「しっかり立派に育っている。若い職員の皆さんに活躍してほしい」と期待を込める。島袋さんは「戦争は人間が犯す最大の過ち。戦争はだめだということと、一番大切なのは命だという資料館の理念を引き継いでほしい」と語った。新館長に就任する普天間さんは開館当初からの職員で、学芸課長や副館長を務めた。普天間さんは「体験者の思いと言葉は代え難いものがあり、重責を感じている」としつつ、「島袋館長たちが育てた職員も何人もいる。みんなでしっかりと戦争の実相を伝え、命、平和の大切さを伝える活動を引き継いでいきたい」と決意を語った。
資料館での解説は、状況に応じ、元学徒が証言活動を行うこともあるという。