【浦添】沖縄県の米軍牧港補給地区(キャンプ・キンザー)内のキンザー小学校(ルシール・サザーランド校長)の児童36人が9日、沖縄戦の激戦地で、映画「ハクソー・リッジ」の舞台となった浦添市の前田高地を訪れ、平和を祈念して千羽鶴をささげた。児童らは黙とうした後、ガイドを務めたNPOうらおそい歴史ガイド友の会の玉那覇清美事務局長(63)の「あらゆる戦争を憎み、平和で住みやすい地球をつくってほしい」とのメッセージに真剣な表情で聞き入っていた。
キンザー小の児童は昨年9月、少年たちによる器物損壊事件が起きた読谷村のチビチリガマを訪れ、千羽鶴をささげた。千羽鶴作りを指導したのは同小で日本文化の教員を務める浦添市牧港出身の下條綾乃さん(44)。「千羽鶴作りを通して沖縄戦や平和について学んでほしいと思った」という下條さんは、校内の平和学習で伊祖公園内のガマで戦時中に父親が生まれ、生き残ったことで自身が生まれたことなど、沖縄戦と自身の家族の関わりについても説明した。
9日は小3~5年の児童らが前田高地を訪れ、戦時中に住民の避難壕として使われたディークガマと、前田高地で戦死した日本軍第32連隊第2大隊の兵士の慰霊碑「前田高地平和之碑」に計4775羽の千羽鶴をささげた後、黙とうし平和を祈念した。
キンザー小4年のアリッサ・ビーティーさん(9)は「戦争が二度とないように祈りながら千羽鶴を折った。『平和をつくるのはあなたたち』という玉那覇さんのメッセージを聞き、とてもうれしかった」と話した。
キンザー小のサザーランド校長は「『あなたたちのおばあちゃんからのメッセージだ』と平和の尊さを伝えてくれた玉那覇さんの思いが、子どもたちに浸透したと思う」と話した。キャンプ・キンザー基地司令官室のアーネスト・アロン・ヒル室長は「この経験は沖縄にいるからこそできることで、子どもたちは沖縄戦について肌で感じることができた」と意義を語った。
同行した松本哲治市長は「日米間のかけはしになって友情を大切にしてほしい」と児童らを激励した。