【ワシントン=座波幸代本紙特派員】県は13日、米首都ワシントンでシンポジウム「変わりゆく東アジアの安全保障体制と沖縄在日米軍の再考」を開いた。基調講演したウィリアム・ペリー元国防長官は北朝鮮の核開発を巡る情勢などを説明し、北朝鮮の非核化が実現すれば「普天間を置く根拠もなくなるだろう」と説明する一方、在沖海兵隊移転は時間とコストの問題だと指摘した。
翁長雄志知事も基調講演し、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古への新基地建設について「辺野古が唯一」と工事を強行する日米両政府に対し、「沖縄の基地負担軽減につながる現実的な解決策を提示され、実行されることを望む」と再考を促した。工事の強行で県民の反基地感情が強まれば、日米安保体制の維持も難しくなると警鐘を鳴らした。
ペリー元国防長官は北朝鮮の核開発を巡る1994年の朝鮮半島危機や現在の米朝関係を説明。海兵隊は北朝鮮の韓国侵攻を防ぐ「やりの先端」の役割を担うが、米本土などからの空軍がより大きな役割を果たすと説明。北朝鮮の非核化が実現すれば「普天間を置く根拠もなくなるだろう」と説明する一方、海兵隊移転は時間とコストの問題だと指摘した。
沖縄や米国の識者らが参加したパネル討議では、米軍基地を県外移転した上で、自衛隊と米軍の共同施設使用の検討や民間施設利用の可能性などについて意見を交わした。
米国防総省の上級担当官として沖縄返還交渉に関わったモートン・ハルペリン氏は復帰以降も沖縄の基地の状況が変わらないのは、「日本政府にとって沖縄の基地縮小の優先度が低くなったからだろう」と指摘。マサチューセッツ工科大国際研究センターのエリック・ホーゲンボタム主任研究員はミサイル防衛などについて述べた。
野添文彬沖国大准教授は沖縄の海兵隊は50年代に日本本土の反対で移転してきたもので、「沖縄が軍事的に理想の場所だったからではない」と指摘。日本政府は辺野古移設に固執しているが、米軍施設の移転で沖縄の基地負担を軽減し、日本本土での自衛隊と米軍の共同施設使用などを検討すべきではと提案した。