「不登校も子の権利」 子ども相談室の内田さん、主体性尊重を訴え


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不登校と引きこもりの子どもについて語る心理カウンセラーの内田良子さん=16日、那覇市の県総合福祉センター

 子ども相談室「モモの部屋」主宰で心理カウンセラーの内田良子さんを講師に招き不登校と引きこもりの子どもたちについて考える講演会が16日、沖縄県那覇市の県総合福祉センターで開かれた。内田さんは「子どもが学校に行くことは義務ではなく権利」「子どものプライバシーは子ども自身のもの」と話し、参加者らに子どもたちへの理解を呼び掛けた。

 現在の学校の状況を「キチキチの管理社会」と内田さんは語る。休み時間や給食時間などを削り、道徳や英語などの新しい教科を次々と詰め込んでいる状況に対して「子どものストレスがたまるのは当然だ」と訴えた。子どもの登校拒否は、子どもが選んだ権利であるが、日本の保護者は「学校信仰」が強く、それが子どもたちへの圧力や負担になっているという。

 また昨年2月から施行された「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(教育機会確保法)」と連動して、学校復帰への圧力の高まりもあると懸念した。「休ませてあげる選択を受け入れるべきだ。わが子を信頼できるのは保護者だけ。信頼できる人が身近にいるだけで自分自身の回復につながる」と強調した。

 参加者から、小学校低学年から登校拒否をしている孫の学力を心配する声が上がると、「家庭での学習で十分対応できる」と述べ、ベトナムの少女が漫画から日本語を覚えた例などを紹介した。そして「学校に行きたくないという意思表示がきちんとできる主体性を持った子だ。家では学校のことを話題にせず、伸びやかに過ごさせてあげて」とアドバイスした。

 また、「管理社会」である学校から排除され、「発達障害」などと診断された児童に多量に処方される薬にも警鐘を鳴らした。「子どもは生命の塊で、じっとしていられないのが当たり前」にかかわらず、学校現場では「黙食(静かに食事)」「黙動」などと行動が抑制されており、学校の決まりに反した行動をする子に「発達障害」などのレッテルが貼られていると指摘した。そのような子どもが学校からの勧めで医師の診断を受け、薬が処方されるという。「日本の保護者は学校に忠実で、医者信仰も厚い。しかし薬によって、ダメージを受けるのは子どもだ」と語った。子どもの特性を見極め「親の会」など地域からの情報を得ることの大切さも訴えた。

 講演会を主催した「不登校りべるた沖縄」は不登校に関する相談のほか、会への参加を呼び掛けている。問い合わせは當眞さん(電話)098(947)6856、メールliberta.okinawa@gmail.com