5G映像実験成功 高速で大容量通信 KDDIなど、タブレット活用 那覇で今月上旬


この記事を書いた人 大森 茂夫

 次世代移動通信規格「5G」の実用化に向け、国際電気通信基礎技術研究所(京都府、浅見徹社長)とKDDI(東京都、田中孝司社長)などはタブレット端末を活用した高精細映像の配信実験を3月5日から9日に、那覇市の沖縄セルラースタジアム那覇で行った。4K映像をタブレット50台に同時配信することに国内で初めて成功した。

 今回の実験は実現性の高い技術の早期導入を図ることを目的とした総務省の技術試験事務の一環として行われた。4K映像の配信で下り毎秒2・2ギガビットを実現し、現在使われている「4GLTE」の10倍に達する速度での伝送に成功した。

 5Gは2020年以降の実用化に向け開発されている通信技術だ。4GLTEに比べ、高速・大容量で遅延が少なく、多くの端末を接続できる特長がある。

 5G技術を使えばスタジアムでスポーツや音楽コンサートを見る際に、自分がいる場所とは別の所に置かれたカメラの映像を手元で見たり、拡大したりすることも可能となる。エンターテインメントの楽しみ方の高度化につながると期待されている。

 実験の成功を受け、KDDIは「5G時代にはエンターテインメント体験が変わることを予感させる成功だ。今後も、自由視点映像のリアルタイム配信など高度な映像伝送技術の実現を目指す」と語った。今回の実験は技術試験を目的に行ったもので、KDDIによると現時点で沖縄セルラースタジアムでの提供予定は未定という。