伊、独は米軍に国内法適用 地位協定国際比較、沖縄県が「中間報告書」 訓練承認にも「受け入れ国」が関与


この記事を書いた人 Avatar photo 宮城 久緒
イタリアとドイツが米国と交わした駐留協定と日米地位協定を比較している地位協定の国際比較に関する「中間報告書」

 沖縄県は30日、米軍の駐留条件を定めた地位協定の国際比較に関する「中間報告書」を発表した。

 ことし1、2月に謝花喜一郎知事公室長らが訪問したイタリアとドイツが米国と交わした駐留協定と、日米地位協定を比較している。

 中間報告は日本と同じく米軍が大規模に駐留するイタリアやドイツでは(1)米軍の活動に国内法を適用する(2)受け入れ国に基地の管理権や立ち入り権がある(3)訓練計画の「承認」など米軍の訓練に受け入れ国が関与する仕組みがある(4)米軍基地を抱える地元自治体の要求・要望を運用に反映させる協議体が設置されている―などの仕組みがあることを指摘した。

 日米地位協定と比較したのは「ボン補足協定」(ドイツ)、「モデル実務取り決め」(イタリア)など。

 日本では政府が「一般国際法上、駐留を認められた外国軍隊には特別の取り決めがない限り接受国の法令は適用されず、このことは日本に駐留する米軍も同様」との立場で、原則的に米軍の活動に国内法が適用されないことを紹介した。

 また日米地位協定上は米軍が個別の訓練計画を日本側に説明したり、日本側が承認したりする仕組みがない点も指摘した。

 事件・事故や騒音対策に関する地元自治体と米軍の協議体についても、県が設置を求めてきたが「対応されない状況」だと指摘した。

 また基地の管理権について、ドイツでは「ボン補足協定」に基づき自治体職員も公務を理由に基地内に立ち入ることができるほか、イタリアではイタリア軍が米軍基地を管理していることを紹介している。

 日本では米軍の「排他的管理権」に基づき、政府や自治体の職員も米軍の「同意」がない限り基地に入れない。

 米軍の重大事故について、ドイツやイタリアではNATO標準化協定に基づき、受け入れ国が事故調査に関与できることを紹介しており、日本政府や自治体の調査を米軍が拒んでいる状況との違いを指摘した。

 報告書はhttp://www.pref.okinawa.jp/site/chijiko/kichitai/sofa/documents/chuukan.pdfからダウンロードができる。【琉球新報電子版】