沖縄戦で看護要員として動員され、多くが犠牲になった「ひめゆり学徒隊」の体験を伝える糸満市のひめゆり平和祈念資料館で30日、島袋淑子館長(90)の退任式が開かれた。生き残った罪悪感に苦しみながらも友人や恩師の命を奪った戦争のむごさを伝え続けてきた元ひめゆり学徒の島袋さんは「これからもできることがあれば若い職員と一緒に頑張りたい」と決意を語った。平和ガイドらも駆け付け、花束を贈った。島袋さんは31日付で退任する。
島袋さんは17歳で学徒隊に動員され、右手と右足にけがを負った。小学校教員として33年間務めた後、1989年の資料館設立以来、館内外で戦争体験を語り継いできた。2011年に7代目館長に就任した。
退任式は、島袋さんの長年の労苦をねぎらおうと資料館の職員が企画した。後任の新館長に就任する職員の普天間朝佳さん(58)は島袋さんに掛けられた温かい言葉や気配り上手の人柄を紹介し「励ましてくれたおかげで頑張れた」と退任を惜しんだ。「これからは島袋館長たちの意志と思いを継ぎ、たくさんの方々に『絶対に戦争は起こしてはいけない』という思いを心に刻んでいただけるよう、職員みんなで頑張っていきたい」と誓った。
あいさつで島袋さんは「表現できないくらいの感謝と感激でいっぱい」「みんなの力を借りてきょうを迎えることができた」と時折、涙で声を詰まらせながら、支えてくれた亡き友や恩師への思い、職員や関係者への感謝を口にした。
退任式後、島袋さんは集まった大勢の報道陣を前に「生きられるだけ生きて平和のために頑張ろうかな、と思っている。資料館が役割を果たせるようにという気持ちで生きていきたい」と語った。