心で奏でる古典音楽 全盲の三刀屋美鈴さん県芸大入学 歌三線学ぶ


この記事を書いた人 琉球新報社
視覚障がいがありながらも県立芸術大に入学した三刀屋美鈴さん(右)と担任の山内昌也准教授=3日、那覇市の同大

 全盲の三刀屋(みとや)美鈴さん(18)=東京都出身=が3日、県立芸術大学に入学した。琉球古典音楽の歌三線を学ぶ。「技芸を高めると同時に歴史も勉強し、琉球芸能の継承に努めたい。点字の工工四の研究も深め、視覚障がい者に教えられるようになりたい」と意気込んでいる。同大に視覚障がい者が入学するのは2014年に卒業した仲松佳恋さんに続き2人目。

 中学2年の時、東京で開かれた「沖縄めんそーれフェスタ」で三線演奏を体験したのを機に知人から習い始めた。14年には同フェスタで芸大卒業生たちと知り合い、東京と沖縄で複数の卒業生に指導を受けた。15年には琉球古典芸能コンクールの新人賞を受賞した。16年にはヘレン・ケラー記念音楽コンクールで1位に輝いた。

 通常の工工四(歌三線の楽譜)は読めないため、演奏を暗記している。数年前からは点字の工工四も使っている。

 琉球古典音楽について「素朴で温かな三線の音色と琉歌に乗せて思いを伝えるところが好き」と語る。一番好きな曲は「喜びを素直に表現していて華やか」という「かぎやで風(かじゃでぃふう)節」。入試の課題曲でもあり「堂々と歌うことができた」。

 担任の山内昌也准教授は「三刀屋さんは練習熱心で、曲の意味をよく理解して取り組む姿勢が素晴らしい」と期待を寄せている。(伊佐尚記)