米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設で防衛省沖縄防衛局は9日、最初の土砂投入を計画している南側一部区域を囲うための最後の護岸「N3」の建設に着手した。一方、防衛局は同日の環境監視等委員会(委員長・中村由行横浜国立大学大学院教授)で、埋め立て予定海域外で見つかった準絶滅危惧種「ヒメサンゴ」1群体についても、県知事への許可が必要な移植はせずに工事を進める計画に変更したことを明らかにした。
防衛局は7月にも今回着工した新護岸と既に着工している2護岸で囲んだ海域に土砂を投入する方針で、護岸工事を加速化する日本政府への県の反発は必至だ。
着工した「N3護岸」は辺野古崎突端部付近から南西に伸び、埋め立て区域南側に造る。全長は135メートル。全体では7カ所目の着工となる。9日午前9時40分ごろ、砕石を敷く作業を始めた。
「N3」と着工済みの「K4」「N5」の両護岸とがつながると、埋め立て区域ができ、辺野古崎突端付近への土砂投入が可能になる。「N3」の工期は2カ月程度で、政府は6月中にも3護岸をつなぎたい考えだ。
ヒメサンゴ1群体を移植せずに護岸工事を進める計画について、沖縄防衛局は海中への1日当たりの砕石投入量を減らし、護岸先に設置する汚濁防止枠を二重から四重に増やすことで影響を与えずに施工可能だとした。環境監視等委員会も今回の変更を了承した。
新基地建設に反対する県が不許可とした特別採捕許可の再申請をせず、知事の権限行使を回避する狙いが政府にあるとみられる。また、砕石の運搬船を2隻に増やし、工事を加速する方針も明らかにした。