米軍現場規制で原因特定できず 国頭消防が調査書高江ヘリ炎上


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炎上し、大破した米軍普天間飛行場所属のCH53ヘリ=2017年10月13日午前8時23分ごろ、東村高江(小型無人機で撮影)

 2017年10月に東村高江の民間地で米軍ヘリが不時着・炎上した事故で、国頭地区消防本部が出火原因について、米軍の立ち入り規制により「特定できていない」とする火災調査書をまとめていたことが11日、分かった。「飛行中に出火したものなのか、不時着後に出火したものなのかは立ち入り規制により、調査できなかった」としており、調査が満足に行えなかった状況が浮かび上がった。調査書は17年10月30日付。焼損面積についての記載もない。

 日米両政府の「日本国内における合衆国軍隊の使用する施設・区域外での合衆国軍用航空機事故に関するガイドライン」では、事故機に近い規制線内に誰が立ち入るかは日米の「同意」に基づくとされている。

 国頭消防は、発生時から再三、米軍に現場での調査を申し入れたが、米軍から返答はなく、立ち入りの規制は解かれなかった。現場に入れたのは、すでに米軍が事故機や燃えた牧草、土などを撤去した後だった。事故は、日米ガイドラインに実質的な効力がないことも浮き彫りにした。

 屋我浩美消防長は「いつでも調査できる状態で待機していたが、かなわなかった」とした。04年の沖縄国際大学にヘリが墜落した事故に触れ「民間地で起きた事件なのに調査できない。沖国大と同じことが繰り返されている」と指摘した。