やんばるの木々、未来へ 英研究者ら種子採取 琉大も国際事業参加


この記事を書いた人 大森 茂夫
琉球大の研究者らとやんばるの樹木の種子を採取するイギリス王立キュー植物園のメンバーら=11日、国頭村(琉球大・久保田康裕教授提供)

 全世界の植物の種子を収集・貯蔵し、生物多様性を未来に伝える国際保全プロジェクト「ミレニアム・シードバンク・パートナーシップ」(MSBP)に琉球大学が加わった。プロジェクトのメンバーらが沖縄県内を訪れ、11日に琉球大の研究者らと国頭村の森で樹木の種子を採取した。種子は遺伝資源として数百年にわたって保存され、生息地での絶滅時や薬品への利用など必要となったときに活用でき、地元への「里帰り」もできる。

 プロジェクトを展開するイギリスの王立キュー植物園と琉球大学理学部の久保田康裕教授らの共同研究の一環。国内で同プロジェクトに参加するのは琉球大と九州大のみ。

 キュー植物園は世界最大の植物園で、世界に存在する3万8500種以上の種子を貯蔵する。東アジアの植物多様性研究を先導する久保田教授らのチームと昨年、共同研究を始めた。

 今回はキュー植物園の種子保全プロジェクト責任者、シャロン・バルディンさんら3人が来沖した。琉大でプロジェクトを説明したほか、種子の採取や保存の方法も伝えた。

 バルディンさんは種子を保存する意義を「植物の多様性を保護し、使えるようにしておくことで、将来起こるかもしれない危機に対応できる」と説明する。国頭村にある琉球大学与那フィールドでは、生物多様性の基盤となる樹木に的を絞り、センリョウ、リュウキュウイチゴなどを集めた。今後2年間にわたり約130種の種子を採取する計画。バルディンさんは「見慣れると気付かなくなってしまうが、多様で、暮らしに役立つ沖縄の植物の大切さを、地域の人たちに理解してほしい」と訴えた。