米軍普天間飛行場の移設に伴う辺野古新基地建設問題で、建設現場周辺では日本の航空法や米国の高さ制限基準を、沖縄工業高等専門学校(沖縄高専)や住宅などが超えていることが明らかになった。沖縄高専初代校長の糸村昌祐氏(75)は13日、琉球新報の取材に応じ、沖縄防衛局が高専の校舎は米国基準の「適用除外」と説明したことについて「なぜ例外なのか、例外の理由を明らかにしていないのに安全と言えるのか。例外で済ませていいことではない」と批判した。
「安全」を巡って、「例外」の理由が明確でない以上、安全が担保されているとは言えないと指摘した。
糸村氏は2002年の高専創設準備室長時代、学校に隣接するキャンプ・シュワブから発生する騒音や振動に「異論・反対等はしない」とする文書の提出を沖縄防衛局(当時は那覇防衛施設局)より打診された。米軍が基地の隣に学校が建設されることに懸念を示したためだが、糸村氏は「学生の安全が第一」とする国会の付帯決議を理由に文書の提出を拒んだ。
04年の開学後は、校長として昼夜を問わずヘリが飛び、実弾射撃訓練の音が聞こえる日々を通じ、「基地と抱き合わせの建設で学生が犠牲になった」という思いを強めたという。
辺野古新基地が完成した場合、沖縄高専が米国の高さ基準を超えていることを報道で知り、「寝耳に水だった。驚いた」と話した。ただ、小野寺五典防衛相は10日、米側とのこれまでの調整で沖縄高専が高さ制限の対象とはならないことを確認したという見解を示し、防衛局も米側との調整の詳細を明らかにしていない。
糸村氏は「学生の安全をどう考えているのか。『安全が第一』という付帯決議は言葉だけなのか。万が一、学生寮に米軍機が突っ込んでからでは遅い」と危惧した。